更新日: 2023.12.28 その他年金

55歳、夫婦で貯蓄は「1000万円」、退職金も「1000万円」出ます。これだけあれば、60歳から年金を受け取っても大丈夫でしょうか? 老後の生活が不安です…

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

55歳、夫婦で貯蓄は「1000万円」、退職金も「1000万円」出ます。これだけあれば、60歳から年金を受け取っても大丈夫でしょうか? 老後の生活が不安です…
定年退職が近づいてくると、年金の受け取り時期について考え始めるものです。中には貯蓄もあり退職金も出るため、月々の受給額が少し減ったとしても年金を通常よりも早めに受け取ることを検討する人もいるでしょう。
 
本記事では、貯蓄が1000万円あり、さらに退職金も1000万円もらえる場合、60歳から年金を繰上げ受給しても大丈夫かどうかを解説しています。
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老後に夫婦で必要な生活費は毎月約27万円

そもそも、老後に必要な生活費は家庭によってさまざまです。特に住居が持ち家か賃貸かで毎月の支出は大きく異なります。今回は総務省の「家計調査報告〔家計収支編〕2022年(令和4年)平均結果の概要」を基準にみていきます。
 
この調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の支出は平均で26万8508円です。この金額が60歳以降、生涯必要な金額だと仮定して、検証を進めていきます。
 

標準的な世帯の年金受給額

月間で必要な約27万円を貯蓄と退職金の合計2000万円と年金で賄うことができるかどうかを判断するには、現役時代の収入によって変化する年金受給額を考えなければなりません。
 
今回は、標準的な世帯の年金受給額を参考とするため、厚生労働省の「厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします」をみていきます。この資料によると、夫婦2人がもらえる標準的な年金額は月額で22万4482円です。
 
ただし、年金は基本的には65歳から受給を開始しますが、それよりも前に受け取り始める繰上げ受給を活用すると、1ヶ月早めるたびに65歳の場合と比べて0.4%受給額が減額されます。つまり、仮に65歳から受給を開始して月額22万4482円もらえる夫婦でも、60歳から受け取り始めると24%減の17万606円になってしまいます。
 

今回の場合、60歳から年金だけで生活するのは厳しい

毎月の支出が26万8508円で、60歳から受け取る年金が17万606円だとすると、その差は9万7902円です。仮に夫婦が同じ年齢で60歳以降は働かずに収入が年金のみ、そして共に85歳まで生きたとすると、60~85歳までの25年間、その不足額を貯蓄などで補う必要があります。
 
毎月9万7902円の赤字だと、25年間の合計では2937万600円です。そのため、貯蓄と退職金を合わせた2000万円でも、1000万円近く足りない計算です。
 

足りない分を充足するにはどうすればよいか

今回のシミュレーションでは、標準的な世帯が60歳時点で2000万円の貯蓄があったとしても、そこから年金だけで生活していては家計がかなり厳しいことが分かりました。それではどうすればよいでしょうか?
 
まず考えたいことは、60歳以降も働くということです。働きながら年金を受け取り、赤字を補てんする、働いている内は年金を受け取らないなどを検討してみましょう。
 
先述した通り、年金は65歳よりも前に受け取ると減額されてしまいます。今回のケースでも、60歳から受け取ると毎月の赤字額は9万7902円でした。
 
しかし、仮に65歳までは働いてその収入で生活し、65歳以降に年金生活に移行した場合、赤字額は毎月4万4026円です。毎月の赤字額が4万4026円であれば、夫婦が共に85歳まで生きたとしても65歳からの赤字額の累計は1056万6240円ですので、貯蓄と退職金の2000万円で補てんすることが可能です。
 

まとめ

標準的な世帯では、仮に60歳時点で2000万円の貯蓄があっても、そこから完全に年金生活になると家計が厳しくなりそうです。一方、65歳まで働いた場合は、その後は年金と貯蓄だけでもなんとかなるかもしれません。
 
とはいえ、今回の支出はあくまでも平均的な場合であり、実際は例えば毎年旅行をしたい、子どもや孫のためにお金を使いたいなど、条件はさまざまです。持ち家でローンを完済していたとしても、修繕費などがかさむ場合もあるでしょう。また、長生きすればするほど、貯蓄は少なくなっていきます。
 
自身の家庭の支出を把握した上で、年金を受け取り始める時期を検討しましょう。
 

>>> 【動画で見る】55歳、夫婦で貯蓄は「1000万円」、退職金も「1000万円」出ます。これだけあれば、60歳から年金を受け取っても大丈夫でしょうか? 老後の生活が不安です…

出典

総務省 家計調査報告〔 家計収支編〕 2022年(令和4年)平均結果の概要

厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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