更新日: 2023.12.09 その他年金
年金は現役年収の5割くらいだと聞きました。今の年収が500万円なら年200万円くらいは受け取れる?
本記事では「年金は現役年収の5割」の正しい考え方を解説するとともに、年収500万円の人のもらえる年金額をシミュレーションします。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
所得代替率5割は公的年金の給付水準の下限
65歳時点の年金額が、現役世代の手取り年収と比較してどれくらいの割合かを示す数字を「所得代替率」といいます。所得代替率が5割というのは、厚生労働省「平成16年改正年金財政フレーム」に示された、年金給付水準の下限の値です。
年金の所得代替率はどのように算出されるのか、今後どう推移すると考えられているのかを、簡単に解説します。
所得代替率とは
年金の所得代替率は、次のモデルとなる男性の手取り月収に対する、夫および専業主婦の妻の年金受給額の比率で求めます。例えば、2019年度の所得代替率は、次のモデルがもとになっています。
・現役男性の手取り月収:35万7000円
・世帯の年金月額:22万円(夫の厚生年金9万円、夫婦の基礎年金13万円)
所得代替率=22万円/35万7000円=61.7%
あくまでもモデル世帯の年金額をもとに算出するものであり、個人の収入に対する個人の年金額の比率ではありません。実際には、世帯の一人あたりの所得が低いほど、その世帯の年金の所得に対する比率は上がります。
2024年度のモデル世帯の所得代替率は約6割の見通し
2019年の財政検証では、今後の年金の所得代替率の推移について、いくつかのケースが示されました。2024年度の所得代替率は約60%になると見込まれており、以後、経済成長と労働参加が進めば、年金の所得代替率は50%を超えて推移すると考えられています。
一方、経済成長と労働参加が進まなければ、最低ラインの50%で給付水準を維持しつつ、年金制度のあり方について検討を迫られる見通しです。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
年収500万円の人は老齢年金を年間いくらもらえる?
年金給付水準を示すモデル世帯の年金代替率は、50%を最低ラインとしています。それでは、現役時代の年収が500万円あれば、老齢年金は5割かそれに近い金額になるのでしょうか。
ここでは、自営業者の場合、現役時代の年収が一貫して500万円の場合、徐々に昇給して50代で500万円になった場合の3つのパターンに分けて、年金額(年額)を検証してみましょう。
自営業者の場合
自営業者の場合、国民年金基金に加入していなければ、年金は基礎年金のみです。基礎年金は収入額にかかわらず、国民年金保険料を支払った月数で年金額が決まります。
国民年金保険料を最長の40年間(480月)納付した場合、基礎年金の支給月額は6万5000円前後です。年収が500万円あった場合、現役時代の約13%の年金収入となります。
現役時代の年収がずっと500万円の場合
現役時代会社員だった人は、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金を受給できます。2003年4月以降に40年間(480月)厚生年金保険に加入し、一貫して年収500万円(ボーナスなし)だった人の老齢厚生年金の年額を計算してみましょう。
平均標準報酬額(※)41万円×給付乗率5.481/1000×480月=107万8660円
加えて、老齢基礎年金:月額約6万5000円×12ヶ月=約78万円が受け取れるため、年金は年額約186万円もらえると試算できます。
※標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入期間で割った金額
現役時代の年収が徐々に上がって500万円になった場合
現役時代の給与が20~30代の20年間は300万円、40代の10年間は400万円、50代の10年間は500万円だったケースはどうでしょうか。このケースでは、一貫して年収500万円の場合よりも平均標準報酬額が下がり、30万7500円です。老齢厚生年金の金額もその分低くなります。
平均標準報酬額30万7500円×給付乗率5.481/1000×480月=80万8995円
老齢基礎年金約78万円を加えると、年金は年額約159万円となる計算です。
年収500万円の人の年金は200万円に届かない可能性が高い
年金の所得代替率の最低水準が5割というのは、モデルとなる夫婦世帯の手取り収入をもとに計算する場合です。個人の年金額に対して年収の5割超を保証するものではありません。
年収500万円の人の年金額は、単身では年額200万円に満たない可能性が高いでしょう。年金額が決まる仕組みを知って、自分はいくらもらえるのかシミュレーションしてみるのがおすすめです。
出典
厚生労働省 いっしょに検証! 公的年金 ~年金の仕組みと将来~ 第09話 所得代替率と年金の実質価値
厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方] 第5 平成16年改正年金財政フレームと財政検証
日本年金機構 保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 は行 報酬比例部分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー