一生懸命働いてきたのに年金は夫婦で「月13万円」!? 定年退職した友人は「22万円」なのに、そんな不公平が起こる理由とは?
配信日: 2023.12.10 更新日: 2023.12.13
本記事では、人には今さら聞けない一般常識として、自営業者と会社員の年金受給額について差がつく理由を解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ずっと自営業者だった夫婦の年金は月約13万円
自営業者の年金は老齢基礎年金のみになります。20歳から60歳までの40年間、自営業者として国民年金保険料を納めてきた人の年金受給額は月6万6250円(2023年度)となっています。配偶者も会社員として働いていなかった場合、夫婦2人が受け取る年金は6万6250円×2人の月額約13万円です。
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ずっと会社員だった夫婦の年金は月約22万円
会社員の年金は老齢基礎年金+老成厚生年金です。40年間会社員として勤めあげた人と配偶者の標準的な年金受給額は、夫婦2人で22万4482円(2023年度)となっています。老齢厚生年金は会社員時代の給与によって上下しますが、この標準的な年金額は平均的な収入(賞与を含む標準報酬月額43万9000円)で40年間働いた場合で計算されています。
月約9万円もの差が出る理由
苦労は違えど、自営業者も会社員も40年間、一生懸命働いてきました。それにもかかわらず、なぜ両者の年金受給額にはこんなにも差が出るのでしょうか。結論から言うと、単純に払い込んできた年金保険料が違うからです。会社員のほうが多く年金保険料を納めてきているので、年金受給額も多いというわけです。
では、払込保険料がどのくらい違うのかを計算してみましょう。
【自営業者】
国民年金保険料は年度ごとに見直されますが、本記事では2023年度の金額が40年間続いたものと仮定して計算します。
1万6520円×(12ヶ月×40年)×夫婦2人分=1585万9200円
【会社員】
国民年金保険料は収入にかかわらず一定ですが、厚生年金保険料は収入に応じて計算されます。標準報酬月額が43万9000円の場合は4万260円です。また、配偶者が扶養に入っている場合には第3号被保険者として配偶者分の保険料の負担はありません。
4万260円×(12ヶ月×40年)=1932万4800円
さらに、会社員の社会保険料は労使折半となっており、半額は会社が負担しています。つまり、この人に紐づく保険料は1932万4800円×2=3864万9600円となります。自営業者の倍以上ですね。
そう考えると会社員の年金受給額は自営業者の1.7倍程度なので、どちらがコスパがよいかといわれると、どうなのでしょうか……ただ、会社員自身が負担した保険料は自営業者の1.2倍程度である点から見ると、やはり会社員のほうがコスパはいいといえるのかもしれません。
まとめ
自営業者と会社員の年金に大きな差が出るのは、払い込んできた年金保険料の違いです。会社員本人が負担する年金保険料は、自営業者の夫婦2人分と350万円程の差ですが、会社が本人負担と同額を負担している点が年金受給額に大きく影響しているのです。
出典
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー