更新日: 2023.12.12 その他年金

年金の最高額の人が受給を最大限まで遅らせた場合、毎月いくらもらえますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

年金の最高額の人が受給を最大限まで遅らせた場合、毎月いくらもらえますか?
「一番たくさん年金をもらう人はどのくらいもらえるのだろうか」と考えたことがある人は多いでしょう。計算の仕組み上、年金額は際限なく上がるものではなく、上限値が存在します。
 
本記事では、年金額が最高になる条件をまとめるとともに、最高額がいくらになるのか、さらに繰下げ受給をするとどうなるのかを具体的に計算します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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年金が最高額になる条件と年金額

老齢年金は「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の二階建てになっており、それぞれ支給額の算出方法が異なります。双方の金額が最高額になる条件を両方とも満たす場合が、年金が最高額になるケースです。
 
ここでは、老齢基礎年金と老齢厚生年金がそれぞれ最高額になる条件や、そのときに支給される年金額がいくらになるのかを、詳しく解説します。
 

年金が最高額になる条件

まずは、老齢基礎年金が最高額になる条件です。老齢基礎年金の金額は、収入ではなく保険料納付済月数で決まります。老齢基礎年金が最高額になるのは、加入可能年数である40年間(480月)、欠けることなく満額の国民年金保険料を納めた場合です。
 
次に、老齢厚生年金が最高額になる条件を考えてみましょう。老齢厚生年金の支給額は、現役時代の収入の額で決まります。具体的には、厚生年金保険加入期間の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、加入月数で割った平均標準報酬額をもとに算出します(※平成15年4月以降加入の場合)。
 
老齢厚生年金が最高額になるのは、次の条件を満たした場合です。

●中学校卒業後すぐに厚生年金保険に加入し、70歳まで以下の条件で継続して加入する
●厚生年金保険加入期間中、常に給与が標準報酬月額の最高額(65万円)になる63万5000円以上
●厚生年金保険加入期間中、常に標準賞与額の上限である150万円以上の賞与を年3回受け取る

ただし、この条件を満たすには、中学校卒業後から70歳まで常に1212万円以上の年収をキープし続ける必要があり、現実的とはいえません。あくまでも理論上の条件です。
 

年金が最高額の人の年金額

老齢基礎年金の最高額は、そのときの給付水準により異なります。令和5年度の水準では79万5000円が最高額です。
 
老齢厚生年金の年額は、次の式で計算します。
 
平均標準報酬額×5.481/1000×厚生年金保険の加入月数(※平成15年4月以降加入の場合)
 
年金が最高額になる人の平均標準報酬額は次のとおりです。
 
(標準報酬月額65万円×12ヶ月+標準賞与額150万円×3)÷12ヶ月=102万5000円
 
15歳から70歳まで54年間働いていた場合の老齢厚生年金の年額は、次のように計算できます。
 
102万5000円×5.481/1000×648月=364万480円
 
老齢基礎年金の79万5000円を加えると、年金額は年額約443万5000円、月額約37万円です。また、65歳未満の配偶者や18歳未満の子がいる場合には、加給年金が加算されてさらに年金額が増えます。
 

年金が最高額の人が75歳まで受給を繰下げると年金額はどうなる?

年金受給を最大の75歳まで繰下げると、65歳から受給した場合の年金額をベースに、84%が加算されます。年金が最高額の人の年金額は約443万5000円なので、75歳で繰下げ受給をした場合のおおよその年金額は、443万5000円×184%=816万400円です。
 
なお、加給年金は、繰下げ増額の対象になりません。また、65歳時点で加給年金の対象となる配偶者や子がいた場合、繰下げ待機をしたことで対象年齢を過ぎると、加給年金は支給されなくなります。
 

年金の繰下げ増額後の最高額は800万円を超える

年金が最高額の人の年金額は約443万円で、現役世代の平均給与額と同程度の水準になります。この人が75歳まで年金受給を繰下げると、年金額は84%増えて800万円を超える計算です。ただし、老齢厚生年金が最高額になる条件を満たすのは現実的には難しいため、実際にこの金額の年金を受給する人はいないと考えられます。あくまでも、理論上の数字として考えましょう。
 

出典

日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 厚生年金保険における標準報酬月額の上限の改定
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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