更新日: 2023.12.14 その他年金

「年収600万円」の会社員です。定年後はすぐに年金をもらう予定ですが、60歳からだとどれだけ「減る」でしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「年収600万円」の会社員です。定年後はすぐに年金をもらう予定ですが、60歳からだとどれだけ「減る」でしょうか?
定年後に気になるのが老後の生活費ではないでしょうか。特に60歳で定年を考えている場合は原則として65歳からしか年金が受給できないため、5年間は年金以外で生活していかなければいけません。
 
そこで、年金を65歳よりも前から受給する「繰上げ受給」を考えている人もいるでしょう。それでは、年金の繰上げ受給をした場合、実際の年金額がいくらになるのでしょうか?
 
本記事では、平均年収が600万円の会社員を例にして繰上げ受給をした場合の年金額を計算していきます。繰上げ受給のデメリットについても紹介するので参考にしてください。
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平均年収600万円の年金額は約17万円

まずは平均年収600万円の会社員が65歳で受給できる年金額を計算する必要があります。会社員の場合、受給できる年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金です。老齢基礎年金については満額受け取れるとすると月額で6万6250円になります(令和5年4月からの年金額)。
 
老齢厚生年金の受給額は特別支給の報酬比例部分、経過的加算、加給年金額を合計した金額です。ここでは簡易的に報酬比例部分のみを計算していきます。報酬比例部分は「標準報酬月額×5.481÷1000×平成15年4月以降の厚生年金の加入期間の月数」(平成15年4月以降の厚生年金の加入期間)になります。
 
本事例の場合、標準報酬月額は平均年収600万円を月額にした50万円です。そして、加入期間の月数は22歳から会社員になったとすると456ヶ月になります。
 
50万円×5.481÷1000×456ヶ月で124万9668円です。
 
老齢厚生年金の月額は10万4139円となり、老齢基礎年金の6万6250円と合わせると17万389円です。
 

繰上げ受給をすると約13万円に!

年金の繰上げ受給制度は、原則として65歳で受給できる年金を65歳以前に繰り上げて受給することができる制度です。しかし、65歳以前に受給できる代わりに年金額は繰上げた分だけ減額されます。例えば、60歳0ヶ月から繰上げて受給した場合は24.0%の減額です。
 
本事例のように、月額17万389円で60歳0ヶ月から繰上げ受給すると、月額12万9495円になります。
 

繰上げ受給をする場合のデメリット

繰上げ受給した場合のデメリットとしては、「80歳10ヶ月まで長生きするとそれ以降は繰上げ受給した方が損をする」ということが挙げられます。繰上げ受給は年金を65歳よりも早く受け取れる点がメリットですが、その分年金額が減額されてしまう点がデメリットです。
 
そして、80歳10ヶ月以上長生きすると繰上げ受給した場合の年金の累計額が、65歳から受給するようになった場合の年金の累計額に逆転されます。つまり、80歳11ヶ月からは繰上げ受給した場合のほうが損をしてしまうことになるのです。
 
また、65歳になるまでの期間に雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付などの給付金を受け取る場合は、老齢厚生年金が支給停止になる場合があります(一部もしくは全部の停止)。
 
その他にも、遺族厚生年金を受給する場合は他の年金と同時に受給できないため、65歳までの期間はどちらを受け取るかを選択しなければいけなくなります。こうしたデメリットをきちんと確認しておきましょう。
 

繰上げ受給は慎重に考えましょう

繰上げ受給は65歳よりも早く年金を受給することができるので、60歳で定年を迎えてもある程度生活費を確保できる点がメリットです。しかし、1度繰上げ受給を請求してしまうと取り消すことはできません。繰上げ受給を検討している人は慎重に考えて繰上げをするかを決めてください。
 

出典

日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額

日本年金機構 は行 報酬比例部分

日本年金機構 年金の繰上げ受給

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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