更新日: 2023.12.28 その他年金

「月22万円」の年金を得るためには、40年間で平均年収はいくら必要?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「月22万円」の年金を得るためには、40年間で平均年収はいくら必要?
年金受給だけでは老後資金が2000万円不足するという報道があったことを覚えている人も多いでしょう。しかし、それは事実ではないという情報もあり、実際いくら必要なのか不安を覚えている人も多いはずです。
 
本記事では平均的な65歳以上無職夫婦のみの世帯で、どのくらいの年金を受給し、その年金額を受給するには年収がいくら必要なのかをデータに基づいて解説します。老後の資金に興味のある人は参考にしてください。
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2022年の65歳以上の夫婦のみの無職世帯、年金額は約22万円

総務省統計局のデータ「2022年(令和4年)家計の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯での年金収入額(社会保障給付)は、月22万418円です。この金額にその他の収入2万5819円を加えた実収入24万6237円は、支出の合計よりも2万2270円下回っています。この不足分が30年続いたとすると約800万円になります。
 
2000万円不足すると言われていたときと比べると、不足額は大幅に縮小していることが分かります。
 

月22万円の年金を得るためには、40年間で平均年収がいくら必要か

総務省の2022年のデータから、65歳以上の無職夫婦が受給している年金額は平均で月額約22万円と分かりました。それではこの年金額を受給するためにはどれくらいの年収が必要なのかを計算してみましょう。
 
ただし、この年金額は夫婦2人分の年金で、世帯主が老齢厚生年金、配偶者が老齢基礎年金のみを受給していると仮定します。
 

国民年金は年収と無関係に一律

年金には厚生年金と国民年金がありますが、厚生年金受給者には厚生老齢年金と老齢基礎年金(国民年金)を合算した金額が支給されます。対して無職の配偶者は国民年金だけの受給です。
 
国民年金の受給額は一律なので、夫婦2人分の国民年金受給額(令和5年度)は以下のとおりです。
 
 6万6250円×2=13万2500円(月額)
 
年金総額22万円に達するためには、上記の金額を差し引いた8万7500円を厚生年金で受給する必要があります。
 

厚生年金の計算方法

厚生老齢年金は、報酬比例部分と呼ばれる金額が主な部分を占めています。報酬比例部分は以下の計算式で算出されます。
 
 報酬比例部分=平均標準報酬額※× 5.481÷1000×平成15年4月以降の加入期間の月数
※平均標準報酬額には年間賞与金額の12分の1も含まれる
 
上記を元に平均標準報酬額を求めると月額約40万円になります。約480万円の年収を40年間継続すると月8万7500円(年105万円)の厚生年金をもらえます。

◆計算の前提条件

●20~60歳までの40年間厚生年金保険料を支払っている
●平成15年4月以降に加入した
●経過的加算、加給年金などは考慮しない

 

公的年金以外で老後の資金を確保する方法

480万円の年収を40年間維持するのは難しいと思った人は、公的年金以外で老後資金の補填をする必要があります。老後資金の積立としては以下の方法が考えられます。

●企業年金……勤務先の企業が運営する年金制度、確定給付企業年金や企業型確定拠出年金といった種類がある
●iDeCo……個人型確定拠出年金とも呼ばれ、取扱金融機関で積み立てたお金を運用してもらう制度、掛け金や運用益は非課税
●NISA……通常の投資では利益や配当などに20%の税金がかかるが、NISAは一定金額まで非課税となる制度

 

夫婦2人が65歳で月22万円の年金を得るには40年間480万円の年収が必要

約40万円の月収を40年間続けて平均的な年金額を手にできますが、実際には年間賞与額の12分の1も含まれているうえに、手取りではなく収入額なので思ったほど厳しくはありません。
 
それでも、今の年収では難しいと思った人はなるべく早い段階で、公的年金以外の積み立て(NISA、iDeCo、企業年金など)を始めることをおすすめします。
 

出典

総務省統計局 2022年(令和4年)家計の概要
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
令和5年4月分からの年金額等について|日本年金機構
企業年金連合会 企業年金制度|企業年金制度と通算年金|
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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