短大卒業後、25歳で結婚し専業主婦です。会社員として「5年」ほどしか働いていないなら、年金額は少ないですか? 夫が年収「700万円」ですが、老後は年金だけでも生活できるでしょうか?

配信日: 2024.01.06 更新日: 2024.01.11

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短大卒業後、25歳で結婚し専業主婦です。会社員として「5年」ほどしか働いていないなら、年金額は少ないですか? 夫が年収「700万円」ですが、老後は年金だけでも生活できるでしょうか?
老齢年金の計算方法は複雑で、年金受給額などを知りたいけれどねんきん定期便は見ていないとの声もよく聞かれます。
 
本記事では、年収700万円の夫と結婚後専業主婦の夫婦が65歳以降にどれくらいの老齢年金を受給できるのか解説します。また、この夫婦の老齢年金額の場合どの程度の生活水準で老後を過ごせるのか、データをもとに検証します。

厚生年金の加入期間が短くても受給できる

老齢基礎年金の受給資格がある人が厚生年金に1ヶ月でも加入していた期間があると、上乗せで老齢厚生年金を受け取れます。そのため、短大卒業後に5年間を会社員として厚生年金保険料を支払っていた妻は、老齢厚生年金を受け取れます。
 

厚生年金の目安を確認

老齢基礎年金の満額は67歳以下の人の場合、令和5年度現在79万5000円です。この金額に厚生年金保険料を支払った期間と収入によって計算した老齢厚生年金の金額が上乗せされます。
 
厚生年金保険の加入期間が2003年3月までと2003年4月以降で、計算方法が異なります。老齢基礎年金に上乗せになる老齢厚生年金の受給額は、図表1の早見表を参考にしてください。
 
図表1

日本年金機構 報酬比例部分の計算式より筆者作成
 

年収700万円の夫と結婚後専業主婦の年金額をシミュレーション

夫が年収700万円、妻が短大を卒業してから5年間のみ会社員として働いていたときの、65歳以降の夫婦の老齢年金受給額をシミュレーションしてみます。条件は次のように設定しました。

●夫:現在60歳(23~34歳:年収500万円・35~60歳:年収700万円・61~65歳:年収400万円の予定)
●妻:現在58歳(20~24歳:年収300万円・25~59歳:専業主婦)

夫婦とも老齢基礎年金を満額受給できると想定すると、65歳以降の老齢年金受給額はおおむね次のようになります。

●夫:79万5000円(老齢基礎年金)+136万5000円(老齢厚生年金)=216万円
●妻:79万5000円(老齢基礎年金)+8万5000円(老齢厚生年金)=88万円

夫婦合わせると216万円+88万円=304万円となり、月あたり約25万円の老齢年金を受給できます。
 

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夫婦で25万円の年金なら生活は安泰?

総務省の調査による65歳以上夫婦のみ世帯の平均的な支出と比較しながら、老齢年金を月に25万円受給する夫婦の生活水準を見ていきましょう。
 
総務省の2022年の調査によると、夫婦ともに65歳以上の無職世帯(夫婦のみの世帯)の1ヶ月の、公的年金などの社会保障給付は平均22万418円です。賃貸収入や仕送りなど、その他収入を合わせて24万6237円が収入の平均です。一方、老齢年金受給開始後も介護保険料や国民健康保険料など社会保険料が老齢年金から天引きされるため、実質の可処分所得はその他の収入を含めて21万4426円となります。
 
今回シミュレーションした夫婦の場合は、老齢年金のみで夫婦合わせて25万円のため、社会保険料などの支出(平均3万1812円)を差し引いた、約22万円が実際に使えるお金となります。
 
総務省の調査では、支出に占める消費の割合が示されているため、22万円をこれで割り振ってみると図表2のような結果になります。
 
図表2

総務省 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要より筆者作成
 
例えば月6万3000円の食費は、4週で割ると1週間あたり約1万5000円です。夫婦2人なら平日は自炊し、週末に5000円~1万円程度の外食が可能でしょう。交際費も毎月2万7000円程度かけられるため、友人と食事に出掛けたり、ゴルフのコースを月に1回程度はまわったりできそうです。
 
ただし、自宅が賃貸住宅の場合は住居費が1万5000円にはおさまらないことがほとんどのため、参考にする際は注意が必要です。
 

月に25万円年金をもらっていても悠々自適とはいえない

今回のケースでは5年間だけ会社員をしていた妻も、老齢基礎年金に年間8万円ほど上乗せした老齢年金が受け取れる結果となりました。また、年収700万円の夫は年間200万円ほどの年金を受け取れる見込みがあり、夫婦合わせると月に約25万円の老齢年金の受給となりそうです。しかし、25万円のうち平均3万円程度は社会保険料として天引きされ、実際に使えるお金は22万円程度です。
 
生活水準は、たまに外食したり友人と出掛けたりできそうですが、自宅の修繕や税金の支払いなどに備えてある程度節制することが必要となりそうです。
 
また、子どもが結婚したり、孫が進学したりするとお祝いを渡すなど、子どもから手が離れても不定期の支出があります。せっかく時間ができた老後に心置きなく旅行に出掛けたり、趣味などを楽しんだりしたいなら、それらを楽しむ分の預貯金をしておくとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 は行 報酬比例部分
総務省 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
 
執筆者:古澤綾
FP2級

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