更新日: 2024.01.30 国民年金

国民年金はどうして月6万円程度なのですか? 少なすぎます。昔は6万円で生活できていたのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

国民年金はどうして月6万円程度なのですか? 少なすぎます。昔は6万円で生活できていたのでしょうか?
老齢年金の見込み額などを見て、現役時代の収入と比べて少ないことに驚く人も多いでしょう。とくに自営業者などで公的年金が国民年金のみの人は、たった6万円程度の年金では少なすぎると感じるのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、国民年金の役割や公的年金の金額が決まる仕組み、過去の年金制度と給付水準などを解説するとともに、年金の金額が少なすぎると感じる場合の対処方法を紹介します。

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国民年金(基礎年金)は老後生活の「基礎的部分」への保障

国民年金(基礎年金)は全ての国民に共通して支給される年金で、現在の3階建ての年金制度の1階に当たります。令和5年度の水準では、満額で6万6250円が基礎年金として支給されます。
 
基礎年金には文字どおり老後の生活の基礎的な部分を保障する役割がありますが、老後生活全体を支える性質のものではありません。そのため、国民年金単体では、それだけで生活していけるほどの金額ではないのです。
 

現在の国民年金の金額は物価や賃金の変動とモデル年金の考え方で決まっている

国民年金(基礎年金)の金額は、標準的な世帯の年金(モデル年金)の考え方と、マクロ経済スライドの仕組みにもとづいて決まっています。
 
現在のモデル年金は、平均的な男子の賃金で40年間就業した夫と40年間専業主婦の妻の2人分の基礎年金と、夫の厚生年金の合計額です。令和5年度のモデル年金額は、月額22万4482円(夫婦の基礎年金6万6250円×2+厚生年金9万1982円)となっています。
 
現在の年金の給付水準は、賃金や物価の上昇率に応じた年金額の上昇を、現役被保険者の減少と平均余命の伸びから算出したスライド調整率を差し引いて抑制する「マクロ経済スライド」によって緩やかに調整されています。モデル年金の所得代替率(モデル年金の男子の手取り収入に対する65歳時点のモデル年金額の比率)の50%が下限と決められており、現在は60%程度の水準です。
 
厚生年金も含めて給付水準を考えるため、基礎年金のみの金額では現役世代の平均的な年収を大きく下回ることになります。
 

昭和40年の年金水準は今より低かった

昭和40年の年金は、当時の男性の平均的な標準報酬月額20年加入した場合をモデルとする「1万円年金」でした。令和4年の消費者物価指数を昭和40年と比べると約4.3倍なので、当時の1万円の価値は現在の4万3000円に相当します。
 
現在の基礎年金の約6万円よりも低めの水準だと言えるでしょう。昔は6万円以下で生活できていたということはなく、現在と比較して年金制度が整っていなかったのです。
 
この4年後の昭和44年には「2万円年金」がスタートし、昭和48年には、現在の水準に近い男子平均の賃金の6割を目途とする「5万円年金」へと年金制度は変化していきました。
 

現在の年金制度は3階建て

現在の日本の年金制度は、基礎年金を1階部分、厚生年金を2階部分、企業年金やiDeCo(確定拠出年金)などの私的年金や、国民年金第1号被保険者を対象とする国民年金基金などを3階部分とする、3階建てになっています。基礎年金・厚生年金の公的年金だけでは生活するのに少なすぎると感じる金額でも、任意で加入して上乗せできる私的年金を組み合わせることで、老後の生活を支える十分な資産を作れるような制度設計になっているのです。
 
自営業者など老後の保障が基礎年金だけで不安に感じている人は、iDeCoや国民年金に加入して年金を上乗せすることを検討するのがおすすめです。
 

国民年金は生活の基礎的部分だけを支える保障

国民年金はあくまでも老後生活の基礎的な部分を保障するもので、老後の生活費全てをまかなえるような金額設定にはなっていません。厚生年金を含めた公的老齢年金の給付水準自体が現役世代の収入の6割程度であり、現役時代と同等の給付額は望めません。
 
代わりに、年金制度の3階部分に当たる私的年金制度を利用して、足りない老後資金を作る選択肢があります。年金制度を理解して、老後の生活に備えましょう。
 

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
厚生労働省 標準的な年金(モデル年金)の考え方
日本銀行 昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?
厚生労働省 標準的な年金(モデル年金)の考え方
厚生労働省 日本の公的年金は「2階建て」 | いっしょに検証! 公的年金
厚生労働省 令和5年度の年金額改定について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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