ボーナス「70万円」から、年金保険料が「7万円」も引かれました…毎月払ってるのに、なぜボーナスからも引かれるのでしょうか? 納得できず悔しい気持ちです…
配信日: 2024.01.16
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ボーナスからも年金保険料が引かれている理由
民間企業に勤務する人や公務員などは厚生年金に加入しています。厚生年金は、受給条件を満たした場合に、原則65歳から年金が受け取れる公的年金です。厚生年金の保険料は事業主と被保険者で折半して支払いますが、原則給与とボーナスから引かれています。
ただし、厚生年金の開始当初から、ボーナスからも保険料が引かれていたわけではありません。厚生年金保険料がボーナスからも引かれるようになったのは1994年からで、これを「特別保険料」といいます。
それまでも給与からは引かれていたため、保険料の支払い額を減らすために、意図的に給与の額を減らしてボーナスの額を増やすという不正が横行していました。ボーナスからも厚生年金保険料が引かれるようになったのは、このような「保険料逃れ」を防ぐためです。
さらに、2003年に特別保険料が廃止され「総報酬制」に移行しました。特別保険料は被保険者の年金額に反映されない仕組みでしたが、総報酬制では支払った保険料が年金額に反映されるようになっています。
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ボーナスから引かれる「お金」の種類
ボーナスから引かれるのは厚生年金保険料だけではありません。そのほかにも、以下のようなお金がボーナスから引かれています。
・健康保険料
健康保険は、民間企業などに勤務する人が加入する公的医療保険です。健康保険の保険料は、規定の保険料率に従って、事業主と被保険者が折半して支払います。なお、40歳以上になると、介護保険の保険料も上乗せされます。
・雇用保険料
雇用保険は、国が定めた基準を満たしている民間企業に勤務する人が加入する公的保険です。雇用保険に加入していると、失業したり疾病や出産などで休業したりした際に手当が受給できます。保険料は、規定の保険料率に従って事業主と被保険者が負担しますが、折半ではありません。令和5年度の場合は事業主0.95%、被保険者0.6%です。
・所得税
個人の所得に課税される税金を「所得税」といいます。所得税は、1年間の収入から社会保険料などの必要経費を引いた金額に、税率を乗じて算出します。会社員の場合は、毎月の給与やボーナスから引かれているため、自分で確定申告する必要はありません。これを「源泉徴収」といいます。毎月の給与からは所得税と合わせて住民税も引かれますが、ボーナスからは住民税は引かれません。
額面70万円のボーナスの手取り額
それでは、ボーナスの額面が70万円の人の手取り額を算出してみましょう。なお、本記事で算出するのは、東京都内に在住する扶養家族がない人の手取り額です。
・ボーナスの額面が70万円の人の手取り額
2023年度の厚生年金保険料率は18.300%のため、ボーナスの額面が70万円の人の厚生年金保険料は6万4050円です(70万円×18.300%÷2)。同健康保険料率は11.82%のため、健康保険料は4万1370円になります(70万円×11.82%÷2)。同雇用保険料率は0.6%のため、雇用保険料は4200円です(70万円×0.6%)。
これらにより、所得税額は3万6166円になります【(70万円−6万4050円−4万1370円−4200円)×6.126%】。そのため、ボーナスの額面が70万円の人の手取り額は55万4214円です。(70万円−6万4050円−4万1370円−4200円−3万6166円)
社会保険のメリットにも目を向けてみよう
毎月の給与から社会保険料や所得税が引かれているうえに、ボーナスからも引かれることに対しては、納得できない人もいるでしょう。ただ、ボーナスも収入であることから、給与と同じく社会保険料や税金が引かれるのは仕方がないことです。
厚生年金や健康保険の保険料は労使折半で、雇用保険の負担割合も事業主の方が多くなっています。また、年金額も国民年金(基礎年金)だけの場合より多く受け取れ、健康保険や雇用保険の補償も充実しています。ボーナスの手取り額が減ってしまうことだけにとらわれず、このようなメリットにも目を向けてみるといいのではないでしょうか。
出典
全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
厚生労働省 令和5年度雇用保険料率のご案内
国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和5年分)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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