更新日: 2024.01.29 その他年金
実際、年金を「満額」受け取れる人って、どれくらいいるの?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年金って満額受け取ると何円になるの?
まずは国民年金と厚生年金、それぞれの年金の満額がどれくらいになるのか確認していきましょう。
国民年金は、満額を受け取ると月額換算で6万6250円になるようです(令和5年度)。年換算では79万5000円になります。そして、厚生年金の支給額は、加入期間とおおむねそれまで納めてきた保険料に比例します。そこで、「満額」という概念については「年金に加入できる期間、納められる保険料を上限いっぱい納めた場合」として考えてみます。
すると、16歳から75歳まで年収1212万円で就労(標準報酬月額を上限の65万円、等級を32とするため、月収は32等級の下限である63万5000円、賞与は標準賞与額の上限150万円×年3回として計算)する必要があります。しかし、これはあまりにも非現実的です。
そこで、ギリギリ現実的に可能であると思われる上限を、厚生労働省の提供する年金試算ツール「公的年金シミュレーター」にて試算できる上限である、下記条件で試算します。
・1960年1月4日生まれ
・16歳から75歳まで年収990万円で就労(厚生年金に加入)
すると76歳から受け取る年金の額は年間で363万円になります。月額換算ではおよそ30万円です。
国民年金受給者ならおよそ6万6000円、厚生年金受給者ならおよそ30万円が、1月における現実的な範囲での、年金の支給上限額といっても差し支えないでしょう。
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満額受け取る人はどれくらいいる?
正直なところ、厚生年金を満額受け取ることは相当に難しいです。先に紹介したように、16歳から75歳まで年収を990万円も受け取ることは現実的ではないからです。
厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を見ると、実際、令和4年度厚生年金受給権者1599万6701人中、年金を月額30万円以上受け取っている人はわずか1万2490人にすぎません。参考までに、厚生年金の平均受給額は14万3973円(全ての受給権者が集計対象)となっていることから、30万円の厚生年金を受け取るハードルの高さがうかがえます。
もし「年金を満額受け取る」のであれば、ここでいう「年金」とは現実的に考えて、厚生年金の部分ではなく、国民年金(老齢基礎年金)部分の方になるでしょう。国民年金保険料を480月分納めると、65歳から満額である6万6250円(月額換算)を受け取ることができます。
実際、厚生労働省の同資料によれば、受け取っている国民年金額が6万円から7万円の間である人は、全受給権者3341万5627人中、1484万7491人となっており、満額受け取れる人も相当数いることが想定されます。平均月額も5万6316円と、満額に比較的近い数値になっています。
年金を満額受け取るには?
厚生年金を満額受け取ることは難しいにせよ、それに近しい金額を受け取るには、下記の方法が有効です。
・75歳まで厚生年金に加入しつづける
・できるだけ高い給与を得て、厚生年金保険料を納める
また、国民年金についても、保険料が未納状態となったときや納付猶予を受けたときから10年以内であれば、追納によって保険料納付期間を480月に近づけられます。なお、60歳以降になりますが、国民年金に任意加入することによって65歳までの間、480月の満額になるまで保険料を納付することができます。
まとめ
厚生年金を満額受け取る人はほとんどいませんが、国民年金であれば現実的に可能になりそうです。
もし、「年金を満額受け取りたい」と考えたら、まずは国民年金を満額受け取るところからスタートしてみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
厚生労働省 公的年金シミュレーター
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:柘植輝
行政書士