更新日: 2024.02.05 厚生年金

叔父は年金を「20万円」も振り込まれています。平均額は14万円のはずですが、昔の会社員は高いのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

叔父は年金を「20万円」も振り込まれています。平均額は14万円のはずですが、昔の会社員は高いのでしょうか?
年金支給額の平均と言われている14万円と実際に振り込まれている金額が、大きく違っているケースを身近で見たことはないでしょうか。しかし、厚生年金に関しては支給額は年収によって大きく左右されるので、平均と違う金額が支給されるのはそれほど珍しくありません。
 
本記事では、年金が平均的な支給額と異なる場合の理由を解説します。年金の支給額に納得がいかない人は参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

年金の平均支給額

国民年金だけに加入している人には老齢基礎年金が支給されますが、保険料も給付額も一律に決められていて、加入年月が同じであれば支給額もほぼ同じとなります。
 
厚生年金に加入している人であれば、老齢厚生年金が支給されます。老齢厚生年金の支給額には老齢基礎年金(国民年金)部分も含まれています。老齢厚生年金部分は加入年数だけでなく、会社に勤めていたときの報酬額によって支給額に違いがあります。
 

年金支給額は人によって違う

公的年金の支給額が人によって違うのは、国民年金だけに加入している人と厚生年金に加入している人による違いがあります。さらに、厚生年金加入者の場合は現役時代の報酬と加入年数による違いがあります。
 
たとえば、サラリーマンから独立して個人事業をはじめた人は、厚生年金の加入年数も短く勤務時の平均報酬額も少ないので、支給額も厚生年金の平均よりは少なくなるのが通常です。
 

国民年金の平均支給額

平成5年4月からの国民年金の支給額は月額で6万6250円、年額では22万4482円です。ただし、これは満額(上限)なので、実際の給付額は加入年数によって違いが生じます。
 
平成30年から令和4年までの平均年金月額の推移を図表1にまとめたので、参考にしてください。
 
【図表1】

年度 老齢基礎年金※
(加入25年以上)
老齢基礎年金
(加入25年未満)
平成30年 5万5809円 1万9064円
令和1年 5万6049円 1万9126円
令和2年 5万6358円 1万9282円
令和3年 5万6479円 1万9398円
令和4年 5万6428円 1万9495円

厚生労働省年金局 「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者が作成
 
※ 老齢年金の対象者は国民年金のみ、共済加入者も含みます
 

厚生老齢年金の平均支給額

厚生年金保険受給者の平均年金月額の推移については、図表2を参考にしてください。
 
【図表2】

年度 老齢厚生年金
(加入25年以上)
老齢厚生年金
(加入25年未満)
平成30年 14万5865円 6万687円
令和1年 14万6162円 6万1509円
令和2年 14万6145円 6万2116円
令和3年 14万5665円 6万3308円
令和4年 14万4982円 6万3538円

厚生労働省年金局 「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者が作成
 

年金支給額の変遷

年金支給額は、ここ5年のスパンではそれほど大きな変化はありません。そこで、2004年から2020年までの年金支給額の変遷を図表3にまとめたので参考にしてください。
 
【図表3】

年度 国民年金 厚生年金※
2004(平成16)年度 6万6208円 23万3299円
2005(同17)年度 6万6208円 23万3299円
2006(同18)年度 6万6008円 23万2591円
2007(同19)年度 6万6008円 23万2591円
2008(同20)年度 6万6008円 23万2591円
2009(同21)年度 6万6008円 23万2591円
2010(同22)年度 6万6008円 23万2591円
2011(同23)年度 6万5741円 23万1648円
2012(同24)年度 6万5541円 23万0940円
2013(同25)年4月~9月 6万5541円 23万0940円
2013(同25)年10月
  ~2014(同26)年3月
6万4875円 22万8591円
2014(同26)年度 6万4400円 22万6925円
2015(同27)年度 6万5008円 22万1507円
2016(同28)年度 6万5008円 22万1504円
2017(29)年度 6万4941円 22万1277円
2018(同30)年度 6万4941円 22万1277円
2019(令和元)年度 6万5008円 22万1504円
2020(令和2)年度 6万5141円 22万0724円

e-GOV データポータル 「年金額の推移」をもとに筆者が作成
 
※ 夫婦の国民年金+夫の厚生年金
 
昔の会社員の年金が高いかというと、この18年くらいのスパンではそれほど大きな違いはありません。厚生年金だけで比較すると夫婦2人の世帯で1万円程度の違いです。国民年金だけではほとんど変わっていないと言ってもよいでしょう。
 
しかし、少子化の傾向がある日本では、この先年金額が増える要素はほとんどありません。公的年金だけに頼らず早めに個人年金や企業年金なども利用して老後に備えましょう。
 

年金の支給方法

自分や家族の年金支給額と平均支給額を比較する場合は、年金の支給が2ヶ月分である点に注意しましょう。つまり、振り込まれた金額の2分の1が1ヶ月分の年金支給額です。
 
年金は年6回偶数月の15日に振り込まれます。その日が金融機関の休業日であれば、前営業日の振込です。また、年金は後払いになるため、4月に振り込まれる金額は2月分と3月分の合計になります。
 

年金支給額は人によって違うので平均額とは一致しないことに注意しよう

年金支給額の平均はあくまで目安であって、実際に振り込まれる年金額は人によって違う点に注意しましょう。特に厚生年金は加入年数以外に勤務していたときの報酬額も影響するので、平均額はあまりあてになりません。
 
また、平均と比べてどれくらいなのかを確認する場合は、振込金額ではなくその2分の1を目安に比較しましょう。
 

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
厚生労働省年金局 令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業の概況
e-Govデータポータル 令和2年版厚生労働白書資料編(本文掲載図表)労働条件・労使関係国際協力 | 年金額の推移
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集