更新日: 2024.02.13 その他年金

【最新】2024年度の年金支給額は、夫婦で「23万円」で前年度より上昇! しかし「物価上昇」には追い付いていない? 生活への影響を解説

執筆者 : 辻本剛士

【最新】2024年度の年金支給額は、夫婦で「23万円」で前年度より上昇! しかし「物価上昇」には追い付いていない? 生活への影響を解説
公的年金の受給額は一定ではなく、物価上昇や賃金上昇などによって毎年見直しが行われます。そのため、来年度(2024年4月以降)の年金受給額がいくらになるのか気になる人も多いでしょう。
 
本記事では、来年度の年金受給額と、物価上昇率とを比較して年金受給額の実質的な価値がどのように変化するかを解説します。
辻本剛士

執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

活動拠点は神戸。FP個別相談や、プロスポーツ選手の資産形成サポートも行っております。プロスポーツ選手に保険、資産運用、支出の見直しなど包括的なアドバイスや、帳簿などの面倒な記帳業務を代行し、本業に集中できる環境作りをサポートします。

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2024年度の年金額は2.7%引き上げ

2024年1月に厚生労働省は公的年金の支給額改定を発表しました。去年の物価上昇率と過去3年間の名目賃金上昇率を踏まえ、2024年4月からの受給額を2023年度から2.7%引き上げます。
 
増額は2年連続となり、バブル経済の影響があった1993年度以来で最も高い伸び率です。
 

夫婦2人当たりの標準的な年金額は約23万円に

では、2024年1月からの具体的な年金額をみていきましょう。厚生労働省は、2024年度の年金額の例を次の内容で発表しています。

●国民年金:6万8000円
●厚生年金:23万483円(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)

図表1

※1 昭和31年4月1日以前生まれの人の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額67,808円(対前年度比+1,758円)です。
※2 平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準。
厚生労働省 令和6年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から2.7%の引上げです~
 
2023年度に比べて2024年4月からの厚生年金受給額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は月額6001円増える結果となります。年換算では7万2012円増える見込みです。
 

実質的な収入は目減り

2024年4月からは前年と比較して年間約7万円厚生年金受給額が増加します。7万円の増加と聞いて喜ばしく思う人もいるかもしれませんが、実際には年金受給額の上昇率以上に物価上昇率が高くなっているため、実質的な収入は目減りしているのです。
 
去年の国内物価上昇率は3.2%、名目手取り賃金変動率は3.1%であったのに対し、年金受給額の引き上げ率は2.7%にとどまっています。つまり、実質的には目減りしたことがわかります。
 
日本ではマクロ経済スライドが採用されており、物価上昇率や賃金上昇率などを基に年金受給額を調整する仕組みです。しかし、年金制度の持続性を確保するため、本来の物価上昇率よりも低い率で調整が行われます。
 
そのため、年金生活者においては収入が月額約6000円増えますが、それ以上に生活費の負担が増えしまうため、実感としては去年よりも生活が厳しくなると感じてしまう人は多くなるかもしれません。
 

物価上昇に負けない資産形成が重要

今回のように年金受給額は今後も目減りしていくことが予想されます。現役世代にとっては物価上昇(インフレ)に打ち勝つための資産形成がますます重要となるでしょう。主な対応策として、株式投資や投資信託といったインフレに強い商品で運用することが挙げられます。
 
特に、政府が推し進めているNISA制度を活用することで、運用益が非課税となり効率的な資産形成を進められるでしょう。ただし、NISAで扱う商品は元本が保証されていない商品となるため、市場動向によっては元本割れを起こす可能性があります。資産運用に不安を感じる人はFPなどのお金の専門家に一度相談することも選択肢の1つでしょう。
 

なるべく早い段階から老後資金の準備を

2024年の厚生年金受給額は夫婦で約23万円となり、前年度よりも上昇することになりますが、それ以上に物価が上昇しているため、実質的に収入は目減りします。そのため、年金受給者の中には去年よりも生活が厳しくなると感じてしまう人もいるかもしれません。
 
現役世代の人は、老後資金の準備を物価上昇に強い株式や投資信託といった運用商品を活用することも有効な手段です。資産運用は20年や30年と長期期間かけて行うことで、複利を最大限活かすことができ、安定したリターンを期待できます。そのため、資産運用を始める場合はなるべく早い段階から進めていきましょう。
 

出典

厚生労働省 令和6年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から2.7%の引上げです~
 
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

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