更新日: 2024.02.13 その他年金

現在、年収400万円で暮らしています。年金も年400万円受け取りたいのですが、難しいでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

現在、年収400万円で暮らしています。年金も年400万円受け取りたいのですが、難しいでしょうか?
老後も、今の生活水準を下げたくないと考えている人は多いでしょう。もしも老後にこれまでの年収額と同じ額の年金を支給されれば、いうことはありません。それでは、現在年収400万円の人が、老後に年金で同額を受け取ることは可能なのでしょうか。本記事では、年金の仕組みや計算方法、年金受給額を増やす方法について解説します。
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年金を毎年400万円受給することは可能?

そもそも年金を毎年400万円(月あたり約33万円)受給するためには、現役時代の年収がいくら必要なのでしょうか。まず、老齢基礎年金の満額は令和5年度で79万5000円です。そのため、年金を毎年400万円受け取るためには、老齢厚生年金を320万5000円受給しなければなりません。
 
老齢厚生年金の年金額は「報酬比例部分+経過的加算+加給年金額」で計算できます。このうち大部分を占めるのが報酬比例部分なので、今回、老齢厚生年金の受給額は報酬比例部分のみとします。
 
報酬比例部分の計算式は、加入期間が平成15年3月以前の場合は「平均標準報酬月額×7.125÷1000×加入月数」です。平成15年4月以降の加入期間については、「平均標準報酬月額×5.481÷1000×加入月数」で計算します。
 
上記の式から、仮に加入月数が480ヶ月(平成15年4月以降)で320万5000円を12で割った額である約26万7000円を毎月受給すると、必要な平均標準報酬月額はおよそ121万8223円になります。ただし、標準報酬月額の最上等級は32のため、年収がいくらであっても報酬月額は65万円となります。
 
これらの結果から、基本的には年金を毎月400万円受給することは、年収がいくらであってもできないということになります。
 

年収400万円の場合の年金はいくらになる?

それでは、年収が400万円だった場合、実際の年金受給額はいくらになるのでしょうか。先述したように、老齢基礎年金の満額は令和5年度で79万5000円です。老齢厚生年金の受給額(平成15年4月以降に480ヶ月加入)についても先述の計算式で計算しましょう。
 
年収400万円だと報酬月額は21等級で34万円であるため、老齢基礎年金の受給額は「34万円×5.481÷1000×480ヶ月」でおよそ89万4500円になります。老齢基礎年金額と老齢厚生年金額を合わせるとおよそ168万9500円、月あたり約14万800円が年金受給額になります。
 

年金額を増やす方法はある?

年金額がおよそ163万6881円だと足りないという場合は、何らかの方法で増やすことを考えなければなりません。例えば、働く期間を増やすのもひとつの方法です。国民年金の受給資格を満たしている場合は60歳までしか加入できませんが、厚生年金は70歳まで加入できます。そのため、厚生年金は480ヶ月以上に加入月数を増やすことが可能です。
 
また、繰下げ受給を活用するという手もあります。繰下げ受給とは、受給時期を65歳よりも遅らせることで受給額が加算される制度です。1年遅らせると8.4%加算され、その後は1ヶ月毎に0.7%が75歳まで加算されます。仮に75歳まで受給を遅らせたとすると84%加算されるため、年金受給額が2倍近くになります。
 

年収400万円で同額の年金を受給するのは難しい

年収が400万円の場合、受給できる年金額はおよそ160万円になります。老後に同額の年金を受給することは、年金の仕組み上難しいといわざるを得ません。しかし、厚生年金の加入月数を増やすことや、繰下げ受給によって年金受給額を増やすことは可能です。
 
また、iDeCoやNISAなどを活用して、老後資金を準備してもよいでしょう。措定される年金額ではとても足りないという人は、これらの方法を検討してみてはいかがでしょうか。
 

出典

日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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