更新日: 2024.02.22 その他年金

40代の主婦で、これまで「扶養内パート」しかしたことがありません。夫に万が一のことがあった場合、妻の私は「遺族年金」などで暮らしていけるでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

40代の主婦で、これまで「扶養内パート」しかしたことがありません。夫に万が一のことがあった場合、妻の私は「遺族年金」などで暮らしていけるでしょうか?
できれば考えたくないけれど、既婚者がいつかは考えなければいけないことのひとつが「妻・夫の死」です。特に、生活費の大半をどちらかに出してもらっている場合は、万が一のことがあれば収入が大幅に減り、生活にも支障をきたします。
 
本記事では、40代の主婦でこれまで「扶養内」でのパートしかしたことがなく、夫に万が一のことがあったら、というケースを例に、遺族年金や注意点について詳しく解説します。
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遺族年金が受け取れるかは家族構成や職業次第

結論からいうと、妻が「遺族年金」を受け取れるかは、家族構成や夫の職業次第といったところです。
 
一口に遺族年金といっても、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
 
「遺族基礎年金」とは国民年金の被保険者であった人が亡くなった場合、条件を満たす遺族が受け取れる年金です。一方、「遺族厚生年金」とは、厚生年金保険の被保険者であった人が亡くなった場合、条件を満たす遺族が受け取れる年金です。
 

遺族基礎年金は子どもがいることが大前提

遺族基礎年金を受け取れるのは「子のある配偶者」または「子」に限られています。ここでいう「子」とは次のいずれかにあたる子どもです。

・18歳になった年度の3月31日までにある
 
・20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある
 
・未婚である

つまり、18歳でも高校を卒業済みなど19歳になる年度であったり、結婚していたりしたら条件から外れると考えましょう。
 
受給額ですが、子のある67歳以下の配偶者が受け取る場合は「79万5000円+子の加算額」(令和5年4月分から)となっています。例えば、子が1人の場合は22万8700円加算される仕組みです。
 

遺族厚生年金は公務員や会社員の制度

遺族厚生年金の年金額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額とされているため、生前の給与によっても異なります。
 
なお、遺族厚生年金は、亡くなった人が生前に厚生年金保険に加入していないと受け取ることができません。夫が国民年金のみに加入していた自営業・フリーランスだった場合は対象外となります。
 
夫が会社員・公務員だった場合は遺族厚生年金を受け取ることができ、さらに条件を満たせば中高齢寡婦加算により厚生年金が上乗せされる仕組みです。次のいずれかに該当すれば、中高齢寡婦加算の対象になります。

・夫の死亡時に40歳以上65歳未満で生計を同じくしている子がいない
 
・遺族厚生年金と遺族基礎年金を受給していたが、子が18歳到達年度の末日に達した(障害がある場合は20歳に達した)ので遺族基礎年金を受給できなくなった

令和5年の場合、59万6300円(年額)が加算されます。
 

「扶養内パート」だったなら遺族厚生年金が受け取れる

ここまでの内容を踏まえ、夫の職業と子の有無でどの遺族年金を受け取れる可能性があるかを表にしてみました(図表1)。
 
なお、ここでいう「子」とは、遺族基礎年金の受給要件を満たす子どもを指します。
 
図表1

夫の生前の職業 子有り 子無し
会社員・公務員 遺族基礎年金+遺族厚生年金 遺族厚生年金
自営業・フリーランス 遺族基礎年金 該当なし

※筆者作成
 
今回の事例では、遺された妻が「扶養内パート」のため、夫が会社員や公務員などの厚生年金加入者であることがわかります。もし夫が自営業・フリーランスであれば「扶養」という考えが存在しないからです。このことから、条件に当てはまる子がいれば遺族基礎年金と遺族厚生年金、条件にある子どもがいなかったとしても、遺族厚生年金および中高齢寡婦加算による上乗せ額が受け取れる仕組みです。
 
実際に暮らしていけるかどうかは遺族年金の受給額に加え、生活スタイルやその他の預貯金や生命保険等の状況にもよるので断言はできませんが、毎月一定額の収入は見込めるといってよいでしょう。
 

自分の公的保険をどうするかも考えるべき

実は、パートナーの死に関しては別に考えるべきことがあります。「扶養内パート」であれば、夫に万が一のことがあったとしても、遺族基礎年金や遺族厚生年金を受け取ることは可能です。
 
ただし、夫の扶養からは自動的に抜けるため、自分で国民年金保険と国民健康保険に加入するか、社会保険加入要件を満たす働き方に変える必要があります。これらの点も含めて「夫に万が一のことがあったらどうするか」を一度考えてみましょう。
 

出典

日本年金機構 遺族年金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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