現在、「国民年金」に加入して働いている年収「400万円」の40代男性です。「厚生年金」に加入できる職場で働けば将来は安泰ですか?

配信日: 2024.02.25

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現在、「国民年金」に加入して働いている年収「400万円」の40代男性です。「厚生年金」に加入できる職場で働けば将来は安泰ですか?
国民年金より厚生年金の方が将来の老齢年金の給付額が高いことから、自営業者など国民年金のみに加入している場合、厚生年金に加入できる職場で働きたいと考える方も多いでしょう。
 
そこで今回は、40代後半から厚生年金に加入し、平均年収400万円で働いたケースを例に、老後に受け取る年金で生活は安泰するのかを考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

勤務先によっては正社員でも厚生年金に加入できないこともある

株式会社など法人の事業所は、強制適用事業所として社会保険への加入が義務付けられており、正社員のほか、勤務時間などの要件を満たすパート・アルバイトといった常時雇用されている従業員は、厚生年金と健康保険に加入することになっています。
 
また、個人事業主に雇用される場合であっても、常時5人以上の従業員を雇用している事業所であれば、同様に社会保険の強制適用事業所となります。
 
なお、強制適用事業所の適用外でも従業員の半数以上の同意があり、厚生労働大臣の認可を受けることで社会保険の適用事業所となることが可能です。
 
一般的には、正社員になれば必ず社会保険に入れるとイメージされることが多いでしょう。
 
しかし、従業員が常時5人以上の個人事業所でも、農林漁業、一部のサービス業などは社会保険については強制加入とはされていないため、フルタイムで働く正社員で、例えば年収が400万円あっても厚生年金に加入できず、国民年金のみに加入というケースもあります。
 

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40代後半から平均年収400万円で厚生年金に加入すると年金はどれくらい殖える?

国民年金(老齢基礎年金)の支給額は収入によって変化することはなく、20歳から60歳までの全加入期間の保険料納付月数に応じて計算されます。
 
令和6年度の老齢基礎年金は、国民年金加入期間のすべての保険料を納付した場合の満額で月額6万8000円、年額では81万6000円です。
 
では、20歳から国民年金のみに加入していた方が、40代後半から厚生年金に加入して60歳になるまで働き、原則の65歳から年金を受け取る場合、年金額はどのくらい殖えるのか、以下の条件で簡単に試算します。
 

・1979年11月1日生まれ
・20歳から45歳までは自営業者として国民年金のみに加入(付加納付はないものとします)
・46歳から60歳になるまでは会社員として厚生年金に加入し、平均年収400万円で就労
・年金額の試算には厚生労働省の公的年金シミュレーターを使用

 
試算の結果では、65歳から受け取る年金(見込み受給額)は年額で112万円です。60歳まで国民年金のみに加入して働き続けた場合と比べて、年間で30万4000円殖えることになります。ただし、厚生年金に加入することで保険料の負担も増加します。
 
賞与などを考慮せず、単純に年収400万円を月収に換算した場合は約33万円となり、46歳から支払う厚生年金保険料は月額3万1110円、健康保険料は月額1万9686円で合計5万796円となります(東京都を例として令和6年度4月以降に納付した場合)。年間で負担する金額は60万9552円です。
 

厚生年金に加入すれば老後が安泰というわけではない

先述の条件で試算した場合、40代後半から厚生年金に加入して殖える年金額は年間で30万4000円ですが、年額112万円の年金を月額換算すると9万3000円ほどなので、年金収入だけで生活するのは難しいでしょう。
 
参考までに総務省統計局の家計調査(令和4年)によると、1ヶ月の平均的な支出について、65歳以上の単身無職世帯では15万5495円、夫婦2人のみの無職世帯では26万8508円となっています。
 
その点を考えると、単に40代から厚生年金に加入し、60歳まで平均年収400万円で働いても、それだけで老後が安泰とはいえません。現実的には老後も就労を続けたり、現役時代のうちに老後資金を十分に蓄えておいたりする必要があるでしょう。
 

まとめ

国民年金のみに加入していた方が40代後半から厚生年金に加入し、平均年収400万円で60歳まで就労した場合、簡易的な試算の結果では受け取れる年金は年間で30万4000円の増加になります。
 
ただし、統計による老後の平均的な支出を参考にすると、年金収入だけで生活できるほど年金額が殖えるわけではありません。そのため、老後の生活での収支を計算して必要な老後資金を準備するほか、就労の継続についても考えておくことが大切です。
 

出典

日本年金機構 適用事業所と被保険者
厚生労働省 令和6年度の年金額改定についてお知らせします
厚生労働省 公的年金シミュレーター
全国健康保険協会 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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