更新日: 2024.03.04 その他年金

「年収600万円」の夫が死亡。専業主婦の妻の老後はどうなる? 受け取れる「遺族年金」について解説

「年収600万円」の夫が死亡。専業主婦の妻の老後はどうなる? 受け取れる「遺族年金」について解説
年収600万円の夫が60歳前(老後目前)で死亡した場合、妻は老後の生活が不安になることが多いのではないでしょうか。夫が亡くなった場合、条件を満たせば遺族年金が受け取れるため、老後は遺族年金と国民年金を受給できることになります。実際にいくら受け取れるのか計算してみます。
沢渡こーじ

執筆者:沢渡こーじ(さわたり こーじ)

公認会計士

遺族年金を受け取れる人

厚生年金保険の被保険者である間に死亡した場合、遺族は老齢厚生年金を受け取ることができます。ただし、厚生年金保険料を、国民年金加入期間の3分の2以上の期間が納付済みであることが必要です。そうした条件を満たした上で、死亡した人の配偶者は遺族厚生年金の受給対象者となります。
 

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年金で受け取れる額

夫が亡くなった専業主婦の場合、遺族年金の受給資格を満たしていれば、遺族年金と主婦自身の国民年金を受け取ることができます。では、具体的に受け取ることができる年金の額はいくらなのでしょうか。
 

国民年金

専業主婦の場合、国民年金保険料を払うことになり、老後は国民年金を受け取ることができます。国民年金保険料を払っている人がもらえる国民年金の給付額は令和4年度末で1人当たり月平均5万6000円です。
 

遺族年金

遺族年金の年金額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4の金額になります。したがって、遺族年金がいくらかを調べる最も簡単な方法は、ねんきん定期便で老齢厚生年金の報酬比例部分がいくらかを確認することです。
 
目安として、老齢厚生年金の受給額のおおむね3/4と考えてください。年収600万でボーナスなしとした場合、夫の65歳からの老齢厚生年金の予想受給額は約186万円、遺族年金はその3/4のため、約140万円になります。1月あたり約11万7000円を遺族年金として受け取ることができる計算です。
 
自分で計算したい場合は下記の式をもとに計算することも可能です。
報酬比例部分 = A(平均標準報酬月額)+ B(平均標準報酬額)
 
A:平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 2003年3月までの加入月数
B:平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 2003年4月以降の加入月数
 
ただし、遺族厚生年金の計算は複雑なため、正確な金額を知りたい場合は、年金事務所や年金相談センターへ問い合わせることをおすすめします。
 
1月あたりでもらえる年金は、遺族年金約11万7000円、国民年金約5万6000円で合計約17万3000円になります。
 
ただし、これはあくまで額面金額です。ここから、社会保険料が年間約1万3000円、所得税が年間約2万5000円、住民税が年間約6万円引かれます。
 
月約8000円が引かれるため、手取りは約16万5000円になります。
 

次のいずれかに該当する場合は、妻が受け取る遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間、59万6300円(年額)が加算されます。ただし、夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年以上の場合に限ります。

1. 夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻
2. 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)等のため、遺族基礎年金を受給できなくなったとき

 

老後に必要な生活費

総務省の2023年家計調査によると、単身世帯(女性)60歳以上の消費支出は年間約180万で、1月当たり15万円になります。ただし、住居費が1月当たり約1万3000円となっているため、賃貸住まいの場合は、支出がさらに増えることになります。
 
夫の遺族年金と自身の国民年金の合計手取り額が約16万5000円ため、支出が15万円であれば持ち家で生活している場合は生活が可能ですが、賃貸住まいであれば年金以外の収入源が無いと生活が厳しいかもしれません。
 

まとめ

年収600万円の夫が死亡した場合、遺族年金の毎月の受給額は約11万7000円、自身の国民年金と合わせると、額面金額は合計約17万3000円、手取り金額は合計約16万5000円という計算になりました。ゆとりのある老後生活を送りたい場合は、貯金をするなど、年金以外の蓄えをしておくことをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
総務省統計局 家計調査 家計収支編 単身世帯 2023年
 
執筆者:沢渡こーじ
公認会計士

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