更新日: 2024.05.07 厚生年金

67歳の私と62歳の妻は「加給年金」受給中です。来年妻は厚生年金加入期間が20年になるのですが、支給停止になりますか?

67歳の私と62歳の妻は「加給年金」受給中です。来年妻は厚生年金加入期間が20年になるのですが、支給停止になりますか?
老齢厚生年金を受け取る段階で妻や子どもと生計を同じくして維持している方は、加給年金を受け取れる可能性があります。
 
加給年金を受け取る方の生年月日に応じて金額が変動する場合もあるため、自分で計算をするときは注意が必要です。もし対象になるか分からない場合は、年金事務所などへ問い合わせましょう。
 
今回は、加給年金の概要や受け取れなくなるケースなどについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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加給年金とは?

加給年金とは、厚生年金保険へ加入していた期間が20年以上ある方が老齢厚生年金を受け取る際に、その方が養っている配偶者や子どもがいる場合に受給できる年金です。もし65歳以降に加入期間が20年に達する場合は、在職定時改定時や、退職して年金額が改定されるタイミングで配偶者や子どもがいると利用できます。
 
ただし、加給年金は自動では支給されません。受給するには申し込みが必要なので、忘れないように注意しましょう。
 
加給年金額は、養っている方によって変動します。表1に、対象となる方ごとの支給額と条件をまとめました。
 
表1

対象 金額 条件
配偶者 23万4800円 65歳未満
(大正15年4月1日以前生まれの場合は年齢不問)
2人目までの子ども 1人につき23万4800円 ・18歳になる年度の末日まで
・障害状態が1級・2級で20歳未満
・上記のいずれかに該当
3人目以降の子ども 1人につき7万8300円

※日本年金機構「加給年金額と振替加算」を基に筆者作成
 
なお、配偶者が該当するときは、老齢厚生年金を受給する方の生年月日によってさらに加算されます。加算額は表2の通りです。
 
表2

誕生日の範囲 金額
昭和18年4月2日以後 17万3300円
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日 13万8600円
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日 10万4000円
昭和15年4月2日~昭和16年4月1日 6万9300円
昭和9年4月2日~昭和15年4月1日 3万4700円

※日本年金機構「加給年金額と振替加算」を基に筆者作成
 
例えば、昭和32年生まれで現在67歳の方が、妻がいる分の加給年金を受け取る場合の合計受給額は、自身が受け取る老齢厚生年金に40万8100円プラスした金額です。
 
なお、妻や夫がいることによる加算額は令和6年4月から変更されているため、これまで受け取っていた方は令和6年から金額が変動している可能性があります。
 

支給停止されるケース

加給年金は、配偶者など養っている方が条件を満たさなくなると、支給が停止されます。配偶者が厚生年金へ加入している期間が20年を超えて老齢厚生年金を受け取れる場合や障害年金を受け取れるときも、支給停止の対象です。
 
注意したいのは、定年後も働いていて受給停止となっていたり年金の繰下げ受給を選択したりすると、実際に老齢厚生年金を受け取っていなくても、受給できる権利を持っている段階で受給できなくなることです。
 
ただし、もし以下すべての条件を満たしていれば「経過措置」として支給停止されるタイミングを遅らせることもできます。

1.令和4年3月の時点において、本人の老齢厚生年金か障害厚生年金で加給年金を受け取っている
2.令和4年3月の時点において、配偶者の厚生年金保険への加入期間が240ヶ月(20年)以上で老齢厚生年金などを受け取れる権利を保有しており、かつ全額が支給停止状態である

これらの条件に当てはまっていれば、配偶者が65歳になるなど表1で説明した条件に当てはまらなくなるまで、加給年金を受け取れます。
 
仮に62歳の妻が来年厚生年金への加入期間が20年に達する場合は、2つ目の条件を満たしていないため、経過措置は適用されません。
 

妻の厚生年金保険の加入期間が20年に達すると加給年金が適用されない

厚生年金保険へ加入していた期間が20年以上ある方が老齢厚生年金を受け取る際に養っている方がいれば、人数や対象に応じて加給年金を受給可能です。妻が該当していれば、妻が65歳になるまで加給年金を受け取れます。
 
ただし、妻の厚生年金保険への加入期間が20年以上で、年金の受給権を保有しているときは支給停止の対象です。今回のケースだと、経過措置も適用されないため、来年からは加給年金を受け取れなくなります。
 

出典

日本年金機構 加給年金額と振替加算
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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