更新日: 2024.05.08 厚生年金

会社員時代の平均年収が「500万円」だった場合、年金はいくら受け取れる?

会社員時代の平均年収が「500万円」だった場合、年金はいくら受け取れる?
「将来受け取る厚生年金は、現役時代の平均年収におおむね比例する」と聞いたことのある方は多いでしょう。しかし、実際にどれくらいになるのか知らない人は多いはずです。
 
そこで、現役時代の平均年収が500万円だった会社員のケースを仮定し、65歳から年金をいくら受け取れるか、試算してみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

厚生年金の支給額が年収に比例する理由

厚生年金の支給額が年収に比例する、といわれる理由は、厚生年金の計算式にあります。
 
厚生年金の支給額の大部分は「報酬比例部分」になります。
 
報酬比例部分は、「平均標準報酬額」に1000分の5.481という「給付乗率」をかけ、そこにさらに平成15年4月以降の加入期間の月数を掛けた金額として算出されます(平成15年4月以降の加入期間の場合)。
 
平均標準報酬額とは、平成15年4月以降の加入期間における、各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、加入期間で割ったものです。いわば、これまで厚生年金に加入して働いていた期間の平均収入です。つまり、加入期間の収入が高ければ高いほど、支給される年金額も高く算出されます。
 
これが、厚生年金の支給額が年収に比例する理由です。
 
ただし、標準報酬額や標準賞与の額には上限がありますので「収入が高ければ高いほど、支給される年金額も上限なく上がる」というわけではないことに注意してください。
 
余談ではありますが、年金額は給付乗率に加えて、さらに加入期間の月数も乗じられた上で決定されます。長く加入している人ほど、乗じる数字も大きくなり、より大きな額の厚生年金を受け取ることができます。
 

現役時代の平均年収が500万円の場合、年金受取額は?

正直なところ、厚生年金の計算式は複雑です。おおむね年収に比例しているとはいえ、一概に「年収がいくらだから何円支給される」などといえるものでもありません。年収に対する支給年金額の目安といえど、一個人が計算するのは容易ではありません。そこで、目安額を知る方法として有効なのが、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」です。
 
例として下記のような、現役時代の平均年収が500万円の方を想定してみます。

●20歳から22歳の間は学生で、国民年金へ加入
●23歳から59歳までは年収500万円で就労し、厚生年金へ会社員として加入
●1991年10月1日生まれ

すると、65歳から受け取る年金は、年間で171万円となります。
 

自営業者など国民年金加入者の場合はどうなる?

ここで気になるのが、自営業者など国民年金加入者の場合です。自営業者などの場合は、原則として国民年金に加入することとなるため、年収に関わらず年金は一定の額になります。国民年金は原則、20歳から60歳までの40年間加入しつづけ、その間の保険料納付実績によって、支給額が変動するからです。
 
参考までに、国民年金の場合、令和6年度の年間の支給額は、満額で81万6000円です。年収が500万円だろうと0円だろうと、この支給額に変わりはありません。
 

まとめ

会社員などで厚生年金に加入している場合は、おおむね現役時代の収入に連動して、支給額が変動します。現役時代の平均収入が年収500万円であった場合、想定される年金額は年間で171万円と想定されます。
 
とはいえ、自営業者のような国民年金加入者の場合は、年収に関わらず、年金額が加入実績に応じて変化します。
 
もし、現役時代の平均年収に見合った年金額がいくらか気になったときは、まずは自身の加入していた年金の状況がどのようになっていたか、確認するようにしてください。
 

出典

厚生労働省 年金用語集 は行 報酬比例部分
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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