年の差夫婦だとお得?「加給年金」「振替加算」がもらえるのはどんな人?
配信日: 2018.11.21 更新日: 2019.09.24
執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。
老齢厚生年金の加給年金とは?
芸能人が若い女性と再婚というニュースを「うらやましい・・・」と思って見ている方も多いかもしれませんが、サラリーマンにあてはめて考えると、定年退職する頃、子どもはまだ育ち盛り。教育費や生活費にお金がかかり大変なはずです。そんな年の差夫婦の強い味方になるのが加給年金です。
加給年金は、厚生年金の被保険者期間が合計で20年以上あり、一定の条件の配偶者や子どもがいる場合、老齢厚生年金に上乗せで加算されます。いわゆる家族手当のようなものです。
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加給年金を受けることができるのはどんな人?
加給年金は、老齢厚生年金の受給資格があり、かつ被保険者期間が合計20年以上ある場合、その両方の条件を満たした時点で、加給年金対象となる配偶者や子どもがいれば支給されます。婚姻期間の長短は問われないというのがポイントです。
では、加給年金の対象となる配偶者や子どもの条件はどのようなものでしょうか。まずは、老齢厚生年金(加給年金)の受給資格者に生計を維持されていることが必要です。つまり、配偶者が高給取りだともらえません。具体的には年収850万円以上という状態が将来にわたって続くと認められる場合には対象外となります。
また、配偶者は年齢が65歳未満であること、子どもは18歳に達する日以降の最初の3月31日までにあること、または20歳未満で障害等級の1級または2級に該当する状態にあることという条件があります。配偶者は事実婚の場合でも支給対象になりますが、子どもは法律上の実子または養子に限られます。
なお、妻の方が年上でサラリーマンとして家計を支えているという場合でも、条件に該当すれば支給されます。加給年金をもらうためには所定の手続きが必要です。老齢厚生年金の支給申請の際に忘れずに行うようにしましょう。
加給年金はサラリーマンが加入する厚生年金の制度ですので、自営業などの第1号被保険者は残念ながらもらえません。
加給年金はいくらもらえる?
条件に合う配偶者や子どもがいる場合、もらえる加給年金額(年額)は、配偶者に対して22万4500円(令和元年度金額。以下同様)、子どもは2人目までが22万4500円、3人目以降が7万4800円となっています。
また、配偶者(一般的には妻)に対する加給年金額には受給権者(一般的には夫)の生年月日に応じた特別加算があります(下表参照)。例えば、昭和18年4月2日以降に生まれた方だと、特別加算は16万5600円となっていますので、加給年金とあわせると、合計で39万0100円です。10歳の年の差があれば年下の配偶者が65歳に達するまで年間約40万円もらえますので、加給年金だけで約400万円が支給されることになり、老後の生活の大きな助けになりそうです。
受給権者の生年月日 | 特別加算額 |
---|---|
昭和9年4月2日~昭和15年4月1日 | 33,200円 |
昭和15年4月2日~昭和16年4月1日 | 66,200円 |
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日 | 99,400円 |
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日 | 132,500円 |
昭和18年4月2日以後 | 165,600円 |
(出典:日本年金機構HP 令和元年度金額)
振替加算がもらえる人は?
加給年金の支給対象となっていた配偶者が65歳になると、加給年金は支給されなくなってしまいます。しかし、配偶者の方の老齢基礎年金に、一定金額が上乗せされて支給されます。これを「振替加算」といいます。ただし、振替加算が行われるためには配偶者(一般的には妻)の生年月日が大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間であることが必要です。
振替加算の額は、大正15年4月2日から昭和2年4月1日生まれの方は、配偶者加給年金額と同額、それ以後は年齢が若くなるごとに少なくなり、昭和41年4月2日以後生まれの方はゼロとなります。加給年金は支給されていたのに、振替加算はもらえないという場合もあるのです。
逆に、妻の方が年上というケースでは、要件を満たしていれば夫には加給年金が支給されていなかった場合でも、妻が65歳以降に振替加算がもらえる場合もあります。
振替加算は、年金を請求する際の裁定請求書に『配偶者の年金証書の基礎年金番号・年金コード、配偶者の氏名および生年月日』(配偶者が年金の受給権を有していない場合は『配偶者の基礎年金番号、氏名および生年月日』)を記入していれば支給が行われます。ただし、妻が年上で65歳以降に振替加算がもらえるようになった場合などには、別途「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」提出などの手続きが必要になります。
どのような場合に「加給年金」や「振替加算」がもらえるのかがわかりにくいため、もらい忘れのケースも多いようです。自分ももらえるのでは?と思ったら、近くの年金事務所へ問い合わせてみましょう。毎年送付される「年金額改定通知書」をよく確認することも必要です。
Text/福島佳奈美(ふくしま・かなみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、DCアドバイザー
ふくしまライフプランニングオフィス 代表