更新日: 2024.06.12 厚生年金

再就職しました。在職老齢年金の「50万円基準」は知っているのですが、実際にカットされるのは何月分の年金ですか? (1)

再就職しました。在職老齢年金の「50万円基準」は知っているのですが、実際にカットされるのは何月分の年金ですか? (1)
年金を受給できるようになって以降も働くと、受け取れるはずの年金がカットされることがあります。いわゆる、在職老齢年金制度の「50万円基準」による支給停止となります。
 
しかし、その対象となる場合、具体的な対象期間はいつになるのでしょうか。在職老齢年金の対象となる月について全3回で取り上げます。1回目の今回は、再就職した場合に「いつからその対象となるのか」について、その原則のルールを見てみます。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

在職老齢年金制度の「50万円基準」について

在職老齢年金は、老齢厚生年金等を受けられる人で、厚生年金の被保険者になっている人が対象です(※70歳以上で厚生年金被保険者とならなくても厚生年金に加入する人と同じ条件で勤務している人も含む)。
 
そして、こうした人の「基本月額」と「総報酬月額相当額」が「支給停止調整額」を超える場合に、その超えた分の2分の1の年金が支給停止(カット)され、支給停止されない残りの額が支給されることになっています。
 
支給停止額や支給される額は月額で計算されますが、より具体的には、まず基本月額は報酬比例部分の年金の月額となり、老齢基礎年金や経過的加算額は含まれません。
 
一方、総報酬月額相当額とは「標準報酬月額(給与)」と「直近1年間の標準賞与額(賞与)の12の1」の合計となります。これらの合計が支給停止調整額を超えると、その超えた分の2分の1の基本月額(報酬比例部分)相当の年金が支給停止となります(【図表1】)。
 


 
そして、支給停止調整額は2024年度の場合、50万円となっています。2023年度の支給停止調整額は48万円でしたが、2024年度に2万円上がったことになります。
 
つまり、2024年度は50万円基準で、基本月額と総報酬月額相当額を合計して50万円を超えた場合に超えた分の2分の1の年金(報酬比例部分)がカットされます。
 

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厚生年金に加入してその翌月分から

この50万円という基準額そのものは比較的知られていますが、再就職して再び厚生年金に加入した場合、この50万円基準を超えた場合の年金のカットは、いつから対象になるのでしょうか。
 
前職を退職してから数ヶ月たって再就職したとします。つまり数ヶ月ぶりに厚生年金の被保険者になった場合、再就職したその月(=厚生年金被保険者になったその月)は支給停止の対象にはなりません。
 
在職老齢年金は、前月から引き続いて被保険者資格を有する人を対象としており、月の初日に再就職しても、たとえ月の途中に再就職しても、その再就職した月は前月から引き続いて被保険者ではありません。したがって、再就職(厚生年金加入)の翌月分からが在職老齢年金の対象になります。これが原則です。
 
【図表2】の例であれば、在職老齢年金は再就職した3月は対象にならず、翌4月分からが対象となり、4月以降の各月について50万円の基準額を超えていなければ支給停止されず、超えていれば【図表1】の計算式で支給停止になります。
 


 
このように再就職月の翌月分からとなると、再就職してもすぐに年金がカットされるわけではないといえます。ただし、今回取り上げた原則のルールは、前職を退職して数ヶ月経過して再就職をした場合などを前提としています。
 
前職の退職後すぐに再就職した場合は今回とは異なっていますので要注意です(※こちらについては3回目の記事で取り上げます)。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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