更新日: 2024.07.09 その他年金
夫が年金「月15万円」を増やすため、繰下げ受給をしています。もし受給前に死亡してしまったらどうなりますか?「遺族年金」など受け取れるのでしょうか?
また、年金を受け取る前に亡くなってしまうと、本人は受け取れません。この場合、受け取れなかった年金はどうなるのでしょうか? 繰下げをしたことで増えた分の年金は遺族年金として遺族が受け取ることはできるのかも気になるところでしょう。
そこで本記事では、年金の繰下げ制度を利用するといくら増えるのかを、月15万円の場合を例に解説していきます。また、繰下げ制度を利用している人が年金を受け取る前に亡くなった場合についても紹介するので、繰下げ受給を考えている人は参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金の繰下げ制度のメリットと注意点
年金の繰下げ制度は、本来65歳から受け取り開始となるところを66歳以降に遅らせることで年金額を増やせる制度です。老齢基礎年金と老齢厚生年金を増額できます。増額される割合は1ヶ月ごとに0.7%で、受給開始が66歳0ヶ月で8.4%、70歳0ヶ月で42.0%、75歳0ヶ月で84.0%増額されます。
増額した年金額は一生涯受け取ることが可能なので、長生きすればするほど多くの年金を受け取れます。年金の繰下げは老齢基礎年金のみ、もしくは老齢厚生年金のみというように片方のみを繰り下げることも可能です。
ただし、年金の繰下げ待機期間中(年金を受け取らない期間)に対象者が亡くなってしまうと、「対象者本人は年金を受け取ることができない」ので注意しましょう。また、65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までの期間に障害年金や遺族年金を受け取ることができる場合は年金の繰下げが原則できません。
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月15万円の年金額はいくらになる?
月15万円の年金を受け取れる人が70歳まで繰り下げた場合と75歳まで繰り下げた場合を考えます。
まず、70歳0ヶ月まで繰り下げた場合の増額率は42.0%です。そのため、6万3000円が増額されます。年金額は月に「21万3000円」です。
次に、75歳0ヶ月まで繰り下げた場合の増額率は84.0%なので、12万6000円の増額になります。毎月の年金額は「27万6000円」です。
繰下げ制度を利用している人が亡くなった場合
繰下げ制度を利用している人が繰下げ待機期間中に亡くなった場合、本人は年金を受け取ることができません。この場合は遺族が受け取れなかった年金を未支給年金として受け取ることになります。
この時の年金額は65歳時点の年金額です。繰下げ受給で増額した部分については遺族も受け取れません。また、遺族が遺族厚生年金を受け取れる場合、この年金額も65歳時点で受け取るはずだった年金額を基準に計算されます。
将来受け取れる年金について考えてみましょう
年金の繰下げ受給は誰でも年金額を増やすことができるので、少しでも年金額を増やしたい人は検討してみましょう。しかし、年金の繰下げ受給には注意点もあります。繰下げ待機期間中に亡くなった場合、本人は年金を受け取れないことを覚えておいてください。
また、遺族も遺族年金が増額されて受け取れるわけではありません。本人が受け取るはずだった年金について、増額前の年金額を基準に計算されます。メリットと注意点を理解し、将来受け取れる年金について考えてみましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー