更新日: 2024.10.08 その他年金

振り込まれた年金額が想定より「1万円」少なかったのですが、なぜですか?何か引かれているのでしょうか?

振り込まれた年金額が想定より「1万円」少なかったのですが、なぜですか?何か引かれているのでしょうか?
年金の金額を求めた際、額面の金額と実際に振り込まれる金額が異なっているケースがあります。これは、年金額によっては振り込まれる際に、税金が引かれる場合があるためです。
 
年金にかかる税金は、受け取っている年齢によって計算方法が変わるため注意が必要です。今回は、年金が額面通り受け取れない理由や年金受給者の「確定申告不要制度」などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

年金が額面通り受け取れない理由とは?

年金のうち、老後に受け取る老齢年金は雑所得のひとつに分類されるため、一定金額以上の収入があれば所得税の課税対象です。日本年金機構によると、65歳未満でその年の受給額が108万円以上である場合、または65歳以上で158万円以上受け取っている場合に、原則所得税がかかるとされています。
 
令和6年度の場合だと、65歳で老齢基礎年金を満額受け取ったときが月額6万8000円、年間81万6000円です。そのため、もし65歳で年金を受け取るときに老齢厚生年金が年間76万4000円以上あると、所得税の課税対象になる可能性があるでしょう。
 
さらに、所得税以外にも住民税や社会保険料も年金から引かれます。
 
なお国税庁によると、同じ年金でも、遺族年金や障害年金には税金が課されません。「非課税所得」と呼ばれ、年金以外にも損害賠償金や、国または地方公共団体が行う保育・子育て助成事業により保育・子育てにかかる施設やサービスを利用するための給付金なども該当します。
 
非課税所得は、所得の計算に加える必要がありません。また、非課税となるための手続きも不要です。
 

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年金にかかる雑所得の計算方法

国税庁によると、年金の税額計算に使われる雑所得の金額は、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて計算します。公的年金等控除額は受給者の年齢と年金の収入金額に応じて定められており、公的年金等にかかる雑所得以外の合計所得金額が1000万円以下の場合における条件ごとの具体的な雑所得の金額および計算方法は表1の通りです。
 
表1

公的年金等の収入金額の合計額 公的年金等にかかる雑所得の金額
65歳未満 60万円以下 0円
60万円超~130万円未満 収入金額の合計額-60万円
130万円以上~410万円未満 収入金額の合計額×0.75-27万5000円
410万円以上~770万円未満 収入金額の合計額×0.85-68万5000円
770万円以上~1000万円未満 収入金額の合計額×0.95-145万5000円
1000万円以上 収入金額の合計額-195万5000円
65歳以上 110万円以下 0円
110万円超~330万円未満 収入金額の合計額-110万円
330万円以上~410万円未満 収入金額の合計額×0.75-27万5000円
410万円以上~770万円未満 収入金額の合計額×0.85-68万5000円
770万円以上~1000万円未満 収入金額の合計額×0.95-145万5000円
1000万円以上 収入金額の合計額-195万5000円

出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問) No.1600 公的年金等の課税関係」を基に筆者作成
 
例えば、65歳で年金を350万円、公的年金等にかかる雑所得以外の合計所得金額が500万円である場合、計算式は「350万円×0.75-27万5000円」となり、公的年金等にかかる雑所得の金額は235万円です。
 
雑所得以外の収入がある場合は、それらの所得も合計して所得税を計算することになります。
 

年金受給者の「確定申告不要制度」とは

前述の通り、年金は、雑所得として所得税の課税対象となっており、一定金額以上を受給するときには確定申告を行う必要があります。
 
しかし、年金受給者の確定申告手続きに伴う負担を減らすために、公的年金等にかかる「確定申告不要制度」が適用されており、条件を満たす方なら申告をしないで済むとされています。政府広報オンラインによると、制度の対象となるのは以下のいずれにも該当する方です。
 

・公的年金等の収入金額が合計400万円以下かつそのすべてが源泉徴収の対象
・公的年金等にかかる雑所得以外の所得金額が20万円以下

 
条件に当てはまらない場合は、自分で確定申告が必要です。そのため、年金を受け取りながら働いている方は、確定申告の対象者となる可能性があります。
 

年金も一定金額を超えると所得税が発生する

年金も雑所得として扱われるため、一定金額を超えていれば所得税の課税対象です。年金を受け取っている年齢によって基準額は変わるため、同じ年金受給額でも65歳未満と65歳以上で税額が変動します。所得税額の計算には、定められた計算式で求めた雑所得金額を使用します。
 
また、一定金額以上の年金を受給していて、年金受給者の「確定申告不要制度」の対象とならない方は自分で確定申告が必要となるため注意しましょう。
 

出典

日本年金機構 年金Q&A(年金と税金) Q年金から税金が差し引かれています。どうしてですか。
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1600 公的年金等の課税関係
政府広報オンライン ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
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