更新日: 2024.12.10 厚生年金
遺族厚生年金は生涯もらえると思っていたのですが、子どものいない30歳未満の妻は一定期間しかもらえないって本当ですか?
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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遺族基礎年金
遺族基礎年金は、死亡した方に生計を維持されていた「子のある配偶者」と「子」が受給できます。子とは18歳になった年度の3月31日までにある方、もしくは20歳未満でかつ障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方をいいます。
ただし、子のある配偶者が遺族基礎年金を受給中や、子に生計を同じくしている父もしくは母がいる間は、子は遺族基礎年金を受給できません。
遺族基礎年金の年金額(令和6年4月分から)は、子のある配偶者が受け取るときは「81万6000円+子の加算額」です。子どもが2人までは1人当たり23万4800円、3人目以降は1人当たり7万8300円が加算されます。
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遺族厚生年金
受給対象者は、死亡した方に生計を維持されていた遺族です。「生計を維持されていた」とは、前年の収入が850万円未満(所得が655万5000円未満)である必要があります。
遺族厚生年金を受けられる遺族は、(1)子のある配偶者、(2)子、(3)子のない配偶者、(4)父母、(5)孫、(6)祖父母です。これらの遺族のうち、最も優先順位の高い方が遺族厚生年金を受け取ることができます。
妻は年齢に関係なく遺族となりますが、子や孫には、「18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方」という年齢の要件があります。
また、父母または祖父母は、55歳以上である方にかぎり受給できますが、受給開始は60歳からです。遺族厚生年金の年金額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額となります。再婚等の事由がないかぎり、遺族は一生涯遺族厚生年金を受給できます。ただし、30歳未満の妻の場合は子の有無によって受給期間が異なります。
なお、夫が死亡した時点で40歳以上だった妻に対し、その妻が64歳までの期間、年間約60万円が上乗せ支給される「中高齢寡婦加算」もあります。
30歳未満の妻に支給される遺族厚生年金
夫が亡くなった時点で妻に子どもがおらず、妻が30歳未満の場合は、受給期間が5年間の有期年金となります。会社員(厚生年金加入者)の夫が亡くなったときに、 30歳未満で妻に子どもがいる場合、もしくは 30歳以上の妻の場合は、遺族厚生年金を一生涯受給できます。
ただし、夫が亡くなった時点で子(18歳になった年度の3月31日までにある方、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方)がいたが、30歳前に遺族基礎年金を受ける権利を失ったときは、その権利を失った日から5年を経過した時点で遺族厚生年金を受ける権利がなくなりますので、留意しましょう。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
厚生労働省 遺族年金制度等の見直しについて
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。