65歳からの年金額が「月15万円」の夫。60歳から自営業なので年金を「繰上げ受給」の予定だけど、受給額はいくら減る? 繰り上げた時点で「加給年金」も加算されるのか解説

配信日: 2025.01.06 更新日: 2025.01.07

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65歳からの年金額が「月15万円」の夫。60歳から自営業なので年金を「繰上げ受給」の予定だけど、受給額はいくら減る? 繰り上げた時点で「加給年金」も加算されるのか解説
60歳台前半の収入が不安なとき、年金の繰上げ受給は頼りになる制度かもしれません。しかし前倒しで年金がもらえる代わりに、年金額は生涯にわたって減額されてしまいます。
 
本記事では、年金の繰上げ受給の概要とどれくらい減額されるのか、繰り上げたときの加給年金の扱いについて紹介します。
橋本典子

執筆者:橋本典子(はしもと のりこ)

特定社会保険労務士・FP1級技能士

年金の繰上げ受給とは

通常、老齢年金は65歳から支給されますが、希望すれば支給開始時期を前倒しすることができます。60歳0ヶ月から64歳11ヶ月の間に受給を開始することを「繰上げ受給」といいます。
 

繰り上げると月0.4%の減額

繰上げ受給をすると、ひと月あたり0.4%(1962年4月1日以前生まれの場合は0.5%)、年金が減額されます。年金額が年100万円の場合、1年(12ヶ月)繰り上げて64歳から受給し始めたときは年95万2000円、2年(24ヶ月)繰り上げて63歳から受給し始めたときは年額90万4000円です。
 
なお、繰下げ受給では老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に扱えますが、繰上げ受給の場合は両方を同時に繰り上げる必要があります。
 

繰上げ受給のデメリット

老齢年金の繰上げ受給制度には、年金の減額の他にも、次のようなデメリットがあります。

●国民年金の任意加入ができない
●国民年金保険料の追納ができない
●事後重症による障害年金が受給できない
●女性の場合、寡婦年金が受給できない
●一度繰上げ請求をしたら、取り消しはできない

 

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60歳で繰上げ受給を始めたら、年金はいくらになる?

老齢年金を繰り上げて60歳から受給し始めた場合の年金額を計算してみましょう。2歳年下の被扶養配偶者がいるとします。
 

老齢年金と加給年金

年金を繰り上げなかった場合、65歳からの受給額は以下の通りです。

老齢基礎年金+老齢厚生年金:年180万円
配偶者加給年金:年23万4800円
特別加算:17万3300円

合計で、年220万8100円、1ヶ月あたり約18万4000円ほどです。
 
この人が繰上げ受給を行い、60歳から受給を始めると、以下の額になります。
老齢基礎年金+老齢厚生年金:年136万8000円
 
1年で136万8000円ですから、1ヶ月あたり11万4000円です。他に収入がなかったとしたら、少々厳しい額かもしれません。ただし65歳になれば、加給年金がプラスされます。
 

加給年金の要件

加給年金とは、老齢厚生年金に加算される家族手当のようなものです。年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が、65歳に到達した時点で、その人に生計を維持されている配偶者または子がいるときに加算されます。加給年金の受給要件を整理すると以下の通りです。

●被保険者期間が20年以上ある老齢厚生年金の受給権者が対象
●その人が65歳になった時点で、生計維持関係のある65歳未満の配偶者、18歳3月31日までの子(1級・2級障害の場合は20歳未満)がいる

 

繰上げ受給をしても加給年金は65歳から。また加給年金は減額されない

老齢厚生年金に追加される形の加給年金ですが、老齢厚生年金を繰り上げて60歳から受給した場合でも、加給年金の受給開始は65歳からです。
 
また、老齢厚生年金を繰り上げたために老齢厚生年金本体が減額される場合でも、加給年金は減額されません。繰上げ受給をした人でも、65歳から満額の加給年金が受け取れます。
 

まとめ

60歳で退職して自営業を始めると、しばらくは収入が安定しない可能性があります。そうしたときに年金の繰上げ受給は便利な制度に思えるかもしれません。
 
しかし一度繰上げた年金は生涯にわたって減額されるため、慎重に考える必要があるでしょう。なお、老齢厚生年金にプラスされる加給年金は、繰上げ受給をした場合でも受給開始は65歳からで、加給年金の減額もされません。
 
年金の繰上げ受給に関しては今後のことも踏まえて慎重に考え、もし余力がある場合は、短時間のパート勤務などを考えてみてもよいかもしれません。
 

出典

日本年金機構 加給年金額と振替加算
日本年金機構 年金の繰上げ受給
 
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士

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