定年後は嘱託社員として働きたいけど、収入が多いと「年金が支給停止」になると聞きました。そうなると結果として「収入が減る気」がします。老後はどのように働くのがおすすめですか?

配信日: 2025.01.13 更新日: 2025.01.14

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定年後は嘱託社員として働きたいけど、収入が多いと「年金が支給停止」になると聞きました。そうなると結果として「収入が減る気」がします。老後はどのように働くのがおすすめですか?
定年後はいまの会社で嘱託社員として働くことを望んでいるAさん。しかし、「収入が多いと年金が停止になる」と聞き、年金がもらえなければ結果として収入が減るのではないかと考えているそうです。年金が支給停止になる制度とはどのようなものか、また老後の働き方をFPがアドバイスします。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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1ヶ月あたり給与と年金の合計が50万円を超えた場合は、年金の一部が支給停止となることがある

かつては、60歳から65歳未満と65歳以上の場合では扱いが異なっていましたが、法律改正により2022(令和4)年4月以降、65歳未満の場合も65歳以上の場合と同じ仕組みで支給停止額が計算されるようになりました。
 
計算式は以下のとおりです。
(総報酬月額相当額+年金月額―50万円)÷2
この額が支給停止となります。
 
具体例で確認しましょう。
老齢厚生年金が年額120万円(月額換算では120万円÷12=10万円)
総報酬月額相当額が42万円(標準報酬月額というのは、毎月の給料と年間賞与のひと月分の合計です。毎月の給料が32万円でボーナスが年間120万円だった場合、ボーナス120万円を月額に直した10万円として加算します)
 
(総報酬月額相当額42万円+年金月額10万円-50万円)÷2=1万円
 
1万円が支給停止となりますので、本来の年金額は月額10万円ですが、受け取ることのできる老齢厚生年金は9万円です。なお、老齢基礎年金については支給停止の対象にはなりません。
 
この例でいえば、老齢基礎年金を月額換算で6万円受け取っている場合
最終的な手取りは
老齢基礎年金6万円+老齢厚生年金9万円+勤務先からの給与・賞与月額換算で42万円=57万円です。
 

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老後の働き方

老後の働き方として、以下のような選択肢が提案されます。
 

1. 収入を調整して手取りの最大化を優先する

嘱託社員としての収入を65歳以下、65歳以上の場合にそれぞれ、年金の支給停止を回避するにはいくらぐらいまでに抑えればよいかを試算し、年金+会社からの給与の手取りが最大化されるように調整します。
 

2. 社会保険に加入し、厚生年金を増やす

嘱託社員として社会保険に加入します。働き続けることで厚生年金の加入期間が延びるため、65歳以降の年金額が増えます。短期的な収入減を気にせず、長期的なリターンを重視する選択肢です。
 
日本年金機構によれば、65歳まで給与月額20万円で厚生年金保険に加入していた場合、65歳以降、70歳まで引き続き給与月額20万円で厚生年金保険に加入した場合、1年間の在職で、1年ごとに年額約1.3万円、厚生年金の受給額が増額します。
 

3. フルタイム勤務を選択して収入増を目指す

年金支給停止が発生しても、フルタイムで働くことで総収入を増やすことを優先事項にします。
 

4. パートや副業で柔軟に働く

嘱託社員ではなく、収入を調整しやすいパート勤務や副業を選び、プライベートの予定やイベントなどに応じて、柔軟にその都度収入を得る方法です。収入という点では不安定ですが、時間に余裕をもたせつつ収入の上乗せを狙う方法です。
 

まとめ

以上のとおり、勤務先からの給与賞与と年金月額の合計が50万円を超えた場合、その超えた部分の2分の1が支給停止であることから、まず、自分の場合、いくらまでなら支給停止にならないかを試算します。
 
そのうえで、ライフスタイルに合わせて何を優先事項とするのか(時間か収入か、手取りか)を検討して自分に一番合っている働き方を選択しましょう。
 

出典

日本年金機構 働きながら年金を受給する方へ
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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