母が「10年確定年金」を受給中、年金受給開始後3年の受取期間を残し亡くなりました。残り期間の年金受取人は私ですが、どのように課税されますか?
配信日: 2025.01.24
本記事では、年金受給権の取得者に対する課税関係を解説します。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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年金給付開始時の税金
個人年金保険の受取年金の課税関係については、保険料の負担者および年金の受取人が誰かによって、課税関係が決まります。
保険料の負担者と年金の受取人が同一人の場合には、所得税(雑所得)が課税されます。保険料の負担者と年金の受取人が異なる場合には、保険料を負担する者から年金の受取人に対し、「年金を受け取る権利」が贈与されたものとみなされ、給付事由が発生した時点で贈与税が課税されます。
ただし、毎年支払いを受ける際にかかる所得税(雑所得)については、年金支給初年度は全額非課税となり2年目以降は課税されます。
ところで、個人年金保険の年金受取人が死亡し、遺族の方が個人年金保険の年金受給権を取得した場合の課税関係はどうなるのでしょうか。以下で、遺族の年金受給権の課税について見てみましょう。
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死亡した人および年金受給権の取得者が保険料負担者ではない場合
新たに継続年金の受取人になった人は、亡くなった年金受取人から継続年金を受け取る権利を相続により取得したと考えるのが自然かもしれません。
しかし、亡くなった人および年金受給権の取得者が保険料負担者ではないケースでは、取得した年金受給権は、贈与により取得したものとみなされて再度贈与税の課税対象となります(相続税法第6条第3項、相続税法基本通達3-45(2))。
死亡した人が保険料の負担者であった場合
継続年金の受取人が亡くなった年金受取人の相続人であるときは、相続によって、継続年金を受け取る権利を取得したとみなされます。相続人以外であるときは遺贈によって取得したものとみなされます。
なお、継続年金を受け取る権利の評価額は、相続税法第24条による評価額となります。
保険料の負担者と継続受取人とが同一人であるとき
例えば、契約者(保険料負担者)が夫、年金受取人が妻の契約で、妻が亡くなったことで夫が継続年金の受取人になるような場合、つまり、保険料の負担者と継続受取人とが同一人である際は、課税しないものとされています(相続税基本通達3-45(3))。
まとめ
個人年金保険の年金受取人が死亡し、遺族が個人年金保険の年金受給権を得た際には、被保険者、保険料の負担者および年金受給権の取得者が誰かによって、年金受給権の取得者に対する課税関係が異なります。確認しましょう。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 個人年金保険
国税庁 No.1610 保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金
国税庁 No.1615 遺族の方が支払を受ける個人年金
国税庁 〔生命保険契約に関する権利関係〕
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。