【FP解説】障害年金5つの誤解「審査請求や再審査請求があるから大丈夫…?」

配信日: 2019.05.20 更新日: 2019.06.13

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【FP解説】障害年金5つの誤解「審査請求や再審査請求があるから大丈夫…?」
障害年金について広まっている、さまざまな誤解を点検します。
 
今回は「審査請求や再審査請求があるから大丈夫…?」というものです。
 
和田隆

執筆者:和田隆(わだ たかし)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。

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裁定請求の結果に不服があれば、審査請求や再審査請求がある

障害年金の請求では、最初に裁定請求を行い、裁定結果に不服がある場合、審査請求をすることができます。審査請求の審査結果に不服がある場合は、さらに再審査請求ができます。
 
裁判に例えるならば、「三審制」のようなものです。裁定請求が地方裁判所、審査請求が高等裁判所、再審査請求が最高裁判所に該当するでしょうか。しっかりと審査してくれそうで、頼もしい感じですね。
 

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しかし、容認されるのは7~10件に1件という「狭き門」

ところが、この頼もしい感じのせいでしょうか、「審査請求や再審査請求ができるから大丈夫」とばかりに、裁定請求をとりあえず、ササッと済ませてしまう人が少なくありません。本当にそれで良いのでしょうか。
 
請求人の主張が認められる割合、つまり「容認率」を、審査結果を比較的詳しく公表している厚生労働省と関東信越厚生局のデータをもとに計算してみました。この容認率には、請求人が日本年金機構の処分変更によって、請求や再請求を取り下げた件数も含んでいます。
 
容認率は、平成28年度の場合、審査請求が9.6%、再審査請求が14.9%、平成29年度の場合は、審査請求、再審査請求ともに12.5%でした。大ざっぱに言えば、7~10件に1件という割合です。かなりの「狭き門」だということが、お分かりいただけるのではないでしょうか。(※)
 

最初の裁定請求に全力投球をすることが大切

審査請求、再審査請求は狭き門。最初の裁定請求に全力投球することが大切です。そのために、次のことを心がけましょう。
 
【1】納得のいく診断書を提出する

障害年金の裁定では、主治医に書いてもらった診断書が最も重視されます。初診日の日付や就労の有無などが間違っている場合は、はっきりと指摘して修正してもらいましょう。診断書に書かれたご自身の症状などに納得がいかない場合も、主治医と十分に話し合い、再考してもらいましょう。
 
【2】請求が1ヶ月遅れになっても仕方がない

事後重症の場合などでは、請求が1ヶ月遅れると、受給権の取得も1ヶ月遅れになり、もらえる年金が1ヶ月分少なくなります。できるだけ月内に請求するのが良いのですが、だからといって、不完全なままの書類で請求をして、不支給決定となったのでは元も子もありません。
 
不支給決定の後、再請求も可能ですが、結果的に受給開始が数ヶ月遅れになってしまいます。拙速は禁物です。
 
【3】意見書、申立書などを工夫する

裁定請求では、病歴・就労状況等申立書を提出しますが、この書類以外に、症状を理解してもらいやすい関連資料を提出することが可能です。例えば、うつ病の場合だと、友人や勤務先の上司に書いてもらった申立書、治療内容がよく分かる「お薬手帳」のコピーなど。室内の片付けが苦手な症状の場合には、その様子が分かる写真等も効果がありそうです。工夫してみましょう。
 
裁定請求で受給を決める――これが一番です。
 
(※)この計算に関しては、障害年金以外の制度の審査結果も含まれています。出典は次のとおりです。・厚生労働省「社会保険(再)審査関係統計表」
・関東信越厚生局「平成28年度及び平成29年度審査請求取扱状況」
 
※2019/5/22 内容を一部修正させていただきました
 
執筆者:和田隆(わだ たかし)
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士
 

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