加給年金ってどんなもの?受給の条件って?
配信日: 2020.06.09
厚生年金に20年以上加入している人が老齢年金を受給するときに、配偶者や子どもを扶養している場合、追加で加算してもらえるものが「加給年金」です。加給年金をもらうための諸条件についてまとめてみます。
執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
そもそも加給年金って何ですか?
加給年金は、簡単にいうと、「家族手当」です。
(1)誰がいつからもらえるのか
厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人で、65歳になったときに条件を満たしている人
(2)加給年金の条件
・厚生年金保険の加入期間が20年以上ある。または、共済組合などの加入期間を除いた厚生年金の加入期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年
・被保険者が65歳になったときに、その人に生計を維持されている配偶者(65歳未満)や子どもがいる場合
(3)生計を維持されている配偶者や子どもの要件
・「前年の収入が850万円未満」か「所得が655万5000円未満」であること
・配偶者の年齢は65歳未満であること
・子どもの年齢は 18歳到達年度の末日までの間の子または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子
(4)加給年金額
【表1】の通り。
【表1】
注:老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額に3万3200円から16万6000円が特別加算されます。
出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」(※1)
(5)特別加算額
【表1】(加給年金額)に加え、老齢厚生年金の受給者の生年月日に応じて、【表2】の加算もあります(令和2年4月から)。
【表2】
出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」(※1)
(6)注意点
この加給年金額(特別加算額を含む)は、受給している配偶者が、老齢厚生年金・退職共済年金・障害年金を受給した場合、支給停止されます。そのため、これらの金額を含めてライフプランを立てている人は、注意が必要です。
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振替加算
加給年金額(特別加算額を含む)とは、冒頭で述べたように、簡単にいうと「家族手当」です。そのため、配偶者や子どもが受給要件を満たさなくなると、支給されなくなります。
そこで、世帯における急激な収入の減少を抑えるために、配偶者が65歳になると、原則的な受給額に加えて支給されるのが「振替加算」です。
【振替加算のイメージ図】
出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」(※1)
(1)誰がいつからもらえるのか
【振替加算のイメージ図】をもとに説明します。夫が家族手当である加給年金額を受給していた場合、妻が65歳になり老齢基礎年金を受給するようになると、その夫の加給年金額が支給停止となります。その夫の代わりに、妻に振替加算が加算され、支給されます。
※他にも事例はあります。
(2)振替加算の条件
・振替加算の対象である配偶者が大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれていること
・その配偶者が老齢基礎年金のほかに老齢厚生年金や退職共済年金を受けている場合は、厚生年金保険および共済組合などの加入期間を併せて240月未満であること
・その配偶者の共済組合などの加入期間を除いた厚生年金保険の35歳以降の加入期間が【表3】で示す期間未満であること
【表3】
出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」(※1)
(3)振替加算の額
振替加算の額は、振替加算の対象である配偶者の生年月日により決められています。昭和61年4月1日に59歳以上の方は、22万4900円(年額)となっています。
なお、配偶者の年齢が若くなるにしたがって減額され、昭和61年4月1日に20歳未満の人は、ゼロとなるように決められています。詳しく知りたい人は、日本年金機構のホームページ(※1)をご参照ください。
言葉はややこしいがシンプルに考える
ふだんの生活で意識していない年金の話は、自分自身が受給するときに慌てて調べることがほとんどです。年金は、原則として自分が手続きをしないと受給できません。
つまり、知らないと損をするということを意味します。そのときがやってきて慌てないように、このような制度があることを覚えておいてください。そして、そのときがきたら、速やかに手続きをして、老後の生活のプラスのお金として役立てるようにしてください。
出典 ※1 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士