個人型確定拠出年金ってどんな制度?(2)
配信日: 2020.06.19
2017年1月から、加入者となる要件が大幅に緩和されたことを背景にして、昨年、加入者数が100万人を突破しました。
この個人型確定拠出年金について、まだ聞いたことがないという人へ、どういった機関が関係する制度なのか、直近の大規模な制度改正までにおきた社会環境の変化について説明します。
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執筆者:堀内教夫(ほりうち のりお)
「レコードキーピング会社」「国民年金基金連合会」「運営管理機関」
さて、実際に新しい年金制度をつくるとなると、大勢の加入者の長期間にわたるデータを管理する必要が生じますし、また、その時々の制度の変化あわせてメンテナンスも必要となってきます。
当時の事務データの処理は大規模なコンピューターシステムを用いる時代でしたので、そのためには、長期的に多額のシステム投資が必要になるものと考えられました。
一方、具体的なニーズが見えない中で、おのおのの金融機関が個別にそのリスクを負うことは困難な経済環境下でしたので、多数の金融機関が共同出資しして、データベースを管理する専門の会社=レコードキーピング会社を設立することとなりました。
そうして制度開始に先駆けて、現在の二大レコードキーピング会社である日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社(JIS&T)と日本レコード・キーピング・ネットワーク株式会社(NRK)が1999年に設立されました。
ちなみに、このレコードキーピング会社は、基本的にはどの運営管理機関を選ぶかによって基本的にはほぼ自動的に定まります。また、最近では、この二大レコードキーピング会社の他にも、確定拠出年金のレコードキーピングを行う会社が出てきています。
運営管理機関というのは、加入者の窓口となる金融機関で、運営管理機関によって取り扱う運用商品、手数料、受給方法等が異なり、どの運営管理機関を選ぶかがこの制度を始める一番のポイントです。
企業型の場合は、企業がそれを選ぶことになりますが、個人型の場合は、自らそれを選んで制度に加入することとなります。
また、制度上、個人型と企業型の異なる点として、企業型確定拠出年金の場合、年金制度の実施主体は当然ながら各企業になるわけですが、個人型の場合は、国民年金基金連合会が実施主体となります。
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制度がつくられた当時とは何が異なっているか(加入者が増えている要因について)
個人型確定拠出年金は非常に税制優遇の大きい制度です。加入者の属性や金額にもよりますが、拠出時、運用時、受給時の3段階で、税制優遇を受けることも可能です。
にもかかわらず、加入者が伸び悩んでいた理由は、一義的には加入者に制限があったことといえます。ただ、そもそものニーズがなければ、加入者も増えないわけで、背景として年金に関わる事情の変化が考えられます。
まず、制度として被用者年金制度の一元化(公務員等の各種共済年金がすべて厚生年金に一元化されました)があげられます。これに伴い、厚生年金にあわせる形で、共済年金の優遇されていた仕組みの多くはなくなりました。
続いて、少子高齢化の進展。公的年金制度についていえば、今後、制度を支える勤労者の人口が減少していき、受給を受ける人がどんどん増えていくという問題です。少子高齢化というトレンドはかねてから懸念されていましたが、この間にそれが数字となって具現化していきます。
少子化については、2005年に合計特殊出生率が1.26という最低の数字となりました。
その後、出生率自体はわずかばかり回復しましたが、出生数の減少は歯止めがかからず、1984年に150万人を割れ、その後も減少を継続し、2006年、統計開始以来初めて100万人を割れ、今後さらに減少していく見込みです。
一方で、高齢化も着実に進展してきており、男性の平均寿命で見た場合、2000年の76.92に対して2018年は81.25と6年弱延びています。ちなみに女性の平均寿命は、平成に入ってからはおおよそ男性の平均寿命+6〜7歳で推移しています。
こういった状況を背景に、自助努力による老後資金準備の制度としての、個人型確定拠出年金が改めてクローズアップされ、制度改正に加入者要件が緩和されたことで、加入者数が伸びています。
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低金利環境下で注目される税制優遇
年金に関わる環境が大きく変化しているとお伝えしましたが、さらに1つ付け加えると、この間に金融環境も大きく変化しました。マイナス金利の導入です。
これによって、預金、債券の金利水準は大きく低下しました。現在の金利水準では、コツコツ預金を続けて資産を積み立てた額以上に増やすことが困難となりました。そこで税制優遇の大きいこの制度が、運用手段としても見直されているのです。
年金制度ですので、一度入ると原則として60歳まで受給できないもの(自分のお金のはずなのに原則として60歳までは使えない)ではありますが、老後資金の準備としてはメリットの多いので、検討してみる価値のある制度と思われます。
執筆者:堀内教夫