そこで今回は、薬剤師の給料事情についてさまざまな側面から分析し、最後に薬剤師が給料をアップさせる方法をご紹介します。
薬剤師の勤務先と給料
薬剤師の給料については、令和元年に厚生労働省が出した「医療経済実態調査の報告」に詳しく書かれています。このデータを元に、薬剤師の勤務先別給料をご紹介します。なおこの数値は、平成30年度のものです。
一般病院で勤務する薬剤師の給料
一般病院全体では、平均給料が444万9610円、平均賞与が113万7685円で、合計558万7295円となっています。
ただし同じ病院でも、国立病院だと平均給料が440万3189円、平均賞与が124万9431円で、合計が565万2620円、公立病院だと平均給料が458万6021円、平均賞与が137万3038円で、合計が595万9059円、また医療法人の病院だと平均給料が440万0340円、平均賞与が84万5847円で、合計が524万6187円と、それぞれ異なっていました。
診療所で勤務する薬剤師の給料
診療所全体では、平均給料が893万5216円、平均賞与が95万1422円で、合計988万6638円でした。
また同じ診療所でも、個人の診療所だと平均給料が734万2857円、平均賞与が190万円で、合計が9,242,857、医療法人の診療所だと平均給料が934万8050円、平均賞与が705,8494円で、合計が1005万3544円と大きく異なっていました。
保険薬局で勤務する薬剤師の給料
保険薬局全体では、薬剤師の平均給料が416万8633円、賞与が57万0292円、合計が473万8925円となっていました。なお管理薬剤師は、平均給料が676万3677円、賞与が75万4784円、合計が751万8472円と、おおむね1.5倍になっています。 保険薬局も、開設者が個人か法人なのか、また事業規模(店舗数)によってもばらつきがありました。
例えば開設者が個人であれば、平均給料が418万8209円、賞与が36万4476円、合計が455万2685円ですが、法人では平均給料が416万8284円、賞与が57万3958円、合計が474万2242円と年収で20万円程度の違いがありました。
しかも店舗数が20店舗を超える保険薬局になると、平均給料が415万2427円、賞与が73万9042円、合計が489万1469円と、年収で35万円ほどの違いを生んでいました。
企業で勤務する薬剤師の給料
薬剤師は、製薬会社で働くこともできます。創薬に関わる研究・開発職、治験のコーディネーター、また営業職であるMR(医薬情報担当者:medical representatives)など、さまざまな働き方があります。
企業で働く場合の平均年収は、会社四季報を確認することで確認できます。四季報を見ると、国内最大手の武田薬品工業の平均年収が1091万円、二番手のアステラス製薬が1088万円となっています。
もちろん、職種や学位の有無により給料に違いは生じますが、薬剤師の資格を生かせる勤務先を検討する際、参考になる情報でしょう。
薬剤師の給料アップの方法
勤務先によって、給料に差が生じることをご理解いただけたのではないかと思います。では次に、現在の給料に満足できない、どうしても給料をアップさせたい場合、どのようにすれば良いかについて解説します。
資格を取る
まずは、スキルを身につけ自分に付加価値をつけることです。認定薬剤師、専門薬剤師など、専門性の高い資格があります。これらの資格を取得すれば、どこの勤務先に行っても給料の基準が高く設定されていますので、総じて給料アップが望めます。
昇進する
時間はかかりますが、管理薬剤師になるなど、職場内で昇進すると昇給します。そのために、職場内で信用を得ること、確実に与えられた仕事以上の成果を出すことが必要です。非常にオーソドックスですが、このような勤務姿勢はどこの職場でも好まれますので、自然と結果はついてくるでしょう。
転職する
転職することで、給料がアップすることもあります。これは転職サイトなどで募集の内容を確認し、給料を目安に転職先を探すことで達成できます。しかし、通常ある程度のキャリアを求められること、あまり高額な案件は特殊な事情が場合もありますので、給料だけでの判断は注意しましょう。
副業する
本業ではありませんが、薬剤師の資格を生かすことができる副業で収入を得ることで給料が上がります。これは薬剤師として職場を掛け持ちをしたり、薬剤師の知識を生かしたライター業務をしたりすると、隙間時間を有効に使えます。ただし管理薬剤師や公的機関で勤務する薬剤師は基本的に副業が禁じられていますので、注意が必要です。
薬剤師の給料アップは長期的視野で取り組む
元々専門性の高い薬剤師も、さらに専門性を高めること、スキルを身につけることでさらに給料アップが望めます。
まずは基礎的な力を身につけることに専念し、自立して業務ができるようになれば、少し長期視野で自己投資をしてスキルを身につけていくと良いでしょう。そうすることで、5年、10年後の大幅な昇給が期待できるでしょう。
出典
厚生労働省「第22回医療経済実態調査の報告」
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