更新日: 2019.01.10 控除
超大型台風!住宅や家財に被害が生じたら、「控除」「減免」で賢く節税
台風や地震などの災害で住宅や家財などに被害が生じた場合、「雑損控除」か「災害減免法」か、有利なほうを選んで、確定申告することで、所得税の節税ができます。
どっちを選択するのが得かポイントをお伝えします。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
雑損控除のポイント
災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等に、一定の金額の所得控除を受けることができます。
対象資産は、納税者や納税者と生計を一にする控除対象配偶者や扶養親族等が所有する「生活に通常必要な資産」です。
別荘、ゴルフ会員権、事業用の固定資産等、1個又は1組の価額が30万円超の貴金属(製品)や書画、骨董、は対象外です。
雑損控除の金額は、次の二つのうちいずれか多い方の金額になります。
(1) (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
(2) (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
※差引損失額=損害金額+災害関連支出の金額等-保険金などにより補てんされる金額
※災害関連支出の金額は、災害により滅失した住宅、家財などを取壊し又は除去するために支出した金額などです。
災害減免法のポイント
災害によって住宅や家財が被害を受けた場合、損害金額(保険金などにより補てんされる金額を除く)が、その時価の2分の1以上で、かつ、災害にあった年の所得金額の合計額が1000万円以下のときに、その災害による損失額について、所得税の減免を受けることができます。
減免額は所得金額の合計額により、異なります。
所得金額の合計額が500万円以下では、所得税額が全額控除、500万円を超え750万円以下では2分の1控除、750万円を超え1000万円以下では、4分の1控除です。1000万円を超えると税額控除はありません。
雑損控除と災害減免法の、どっちが得?
まず、雑損控除と災害減免法の違いを確認しましょう。
雑損所得は、利用できる方の所得制限がありませんが、災害減免法は年間所得が1000万円以下の方のみです。年間所得が1000万円を超える方は、雑損控除しか利用できません。
損害発生の原因も異なります。雑損所得は、災害・盗難・横領ですが、災害減免法では災害のみです。
対象資産は、雑損控除では「生活に通常必要な資産」ですが、災害減免法では、住宅又は家財のみです。自家用自動車などは対象外です。
税金面では、雑損控除は、生命保険料控除や医療費控除と同じ「所得控除」です。その所得から控除しきれない控除額は。翌年以降3年間に繰り越して、各年の所得金額から控除できます。
一方、災害減免法は、住宅ローン控除と同じ、「税額控除」です。「雑損控除」と違い、減免を受けた年の翌年以降は、減免は受けられません。
雑損控除と災害減免法が選択できる場合、一般的には、損害額が比較的少なければ災害減免法が有利といえます。一般の方にとって、どっちが得かを判断するのはむずかしいので、該当する方は、税理士などの専門家に相談しましょう。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。