更新日: 2020.04.06 控除

増税される「高収入の会社員」は不幸なのか?

執筆者 : 平田純子

増税される「高収入の会社員」は不幸なのか?
年収850万円超の会社員に対して、2020年1月から所得税が増税されることが、ほぼ確実になりました。一方、個人事業主の方や組織に属さないフリーランスという立場で働く人は減税となり、年収850万以下の会社員は現状維持となります。消費税など、全国民一斉がその対象者となる増税に対し、今回の増税は、いわゆる高額所得の会社員に対象を絞った増税です。

ご自身が対象者となるのか、ならないのか、みなさんはそれぞれ、すでに把握されていることと思います。対象者となられた方は、今、どのようなことを感じていらっしゃるのでしょう?増税対象者となられるかたは、どれほどの負担増なのでしょうか?増税されるということは、本当に不幸なのでしょうか?

今回は、そのあたりのポイントを読み解いてみましょう。幸いなことに!?【増税対象者】とならなかった方も、是非、今後の働き方プランのための参考にしていただければと思います。
平田純子

執筆者:平田純子(ひらた じゅんこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級建築士、インテリアコーディネーター
大阪市立大学・生活科学部・住居学科卒業。電機メーカーで商品企画の仕事を経て、好きが高じて、株式会社良品計画に中途入社。無印良品の店舗にて、家具やカーテン、照明のコーディネート提案を得意とする店長として10年以上勤務。しかしある時、お金に無計画・無頓着に過ごした自身のこれまでの人生を振り返り、後悔の念。豊かな人生を送るために、ライフプランニングの必要性を痛感。その必要性をより多くの人に伝えたいとの思いで、ファイナンシャルプランナーを志す。
現在、ファイナンシャルプランナーとして、ライフプランとキャッシュフロー分析・アドバイスを個別相談で行う傍ら、セミナー講師,や執筆も行う。得意分野はライフプラン(資金計画)、生命保険見直し、資産形成・運用。お金の相談に加えて、インテリア計画や片付け、収納計画についても、ご要望に応じて相談を承っている。
https://hataraku-okane.com/

増税対象者はどんな人?

今回、その対象者となるのは、会社員としてお勤めで、且つ、年収が850万円超の方です。そして、その中でも、家族の中に22歳以下の子供がいたり、介護が必要な人がいる場合は、増税の対象外です。
対象者の人数は、全国で約230万人で、全就業者数の約3.5%とのことです。
 
どんな人たちでしょうか?
一部例外はあるかもしれませんが、概ね下記の方々です。
 
・企業に属していて、比較的高額な収入がある
・子供がいない夫婦世帯(共働きの世帯も多いことでしょう)、またはシングル世帯、そして今のところ、親御さんの介護等の負担もない
 
つまり、企業に属しているからこそ、社会保障面では、社会保険料負担の所属会社との折半、そして、将来の年金収入の面(国民年金と厚生年金の2階建て年金)などの保障が手厚いということに加え、生活環境面では、子育てや介護といった金銭的な負担が少なく、ご自身で使えるお金が自由にあるという方々です。何せ、働いているすべての人々のわずか3.5%の中に入っている方々です。
 

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どれくらいの増税になるのか?

これも気になりますね。現状からの増税分は、年収900万円の方で年間約1.5万円、年収950万円の方で約3万円、年収1000万円の方で約4.5万円です。
 
「高い!」と感じるか、「まぁ、仕方ないか」と感じるかは、人ぞれぞれかと思いますが、年収900万円の場合の手取りは約630万円。その中の1.5万円です。先述の対象者の方の社会保障面・生活環境面から考慮すると、日本の財政のためなら、「まぁ、仕方ないか」と思える金額ではないでしょうか。
 

それにしても、諦めるしかないのか?

いいえ、そんなことはありません。だからこそ、できる対策、やるべき対策はたくさんあります。
 
増税されるなら、なおさら積極的に節税を!

今回、増税される所得税について、自ら積極的に節税する方法があるのをご存知ですか?一度は聞いたことがある方も多いかと思いますが、《所得控除》と《税額控除》がそのキーワードとなります。
 
2つの《控除》について、詳細の説明はまた別の機会といたしますが、いずれの《控除》も、節税にはとても効果があります。その中でも、その税効果が絶大なのが、《税額控除》です。簡単に言えば、所得税から、直接その金額が引けるのです(一部、上限額あり)。その分、税金を安くできます。
 
中でも代表的な《税額控除》は、
・住宅ローンを組んでマイホームを取得した後一定期間適応になる【住宅借入金等特別控除】
・ふるさと納税等の【寄付金特別控除】
です。
 
これを機会に、賃貸住宅住まいの方はマイホーム購入の検討もよいと思います。しかし、マイホーム購入となると、かなり大きなお買い物となるため、そこまで踏み切れないとの方は、誰でも手軽に節税できるだけでなく、小さな(寄付先の自治体によっては大きな!?)『幸せ』を享受できる【ふるさと納税】の利用がお勧めです。
 
また、民間保険会社の生命保険や医療保険、年金保険の加入も、一部保険料が《所得控除》となり、節税メリットがありますので、これを機会に、それぞれの方に必要な保険の加入を検討してみるのも、節税対策のひとつです。
 

積極的に節税 & 積極的にふやす ことのススメ

そして、筆者が最もお勧めしたいのが、【個人型確定拠出年金(iDeCo)】の利用です。こちらは、それぞれの方の年間限度額までが《所得控除》できる上に、それらの積み立てたものが老後の資金として、他の誰のものでもなく、自分年金として自らが利用できるのです。今回、増税の対象となる会社員の方で、企業年金がない企業にお勤めであれば、年間276,000円が《所得控除》できます。
 
さらに、これらの金額を投資性の商品を選んで積み立てると、その元本である積立額を大きくふやせる可能性があるのです。投資の世界では、コツコツ長く、そしてその元本が大きければ大きいほど、まさに雪だるま式にお金がふえていきます。
 
今回、増税の対象となる方々は、概ね、資金に余裕がある方なわけですから、ぜひこの機会に、賢く節税しつつ、大きくお金を育てることについて、真剣に考えて実行に踏み切っていただければと思います。
 
最後に、テーマに掲げました【増税される高収入の会社員は不幸なのか?!】の筆者の見解ですが、
・年収850万円超の方は全就業者数のわずか3.5%。そして、今のところ、子育てにも、介護にもお金がかからず余裕資金が比較的多い。
・その余裕資金が比較的多いということは、投資によって大きくふやせる可能性も高い。
などの観点から見ると、「決して不幸ではない」と筆者は思っています。憂うことなく、是非、次なる一手を。

 
Text:平田 純子(ひらた じゅんこ)
CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級建築士、インテリアコーディネーター