更新日: 2019.06.28 その他税金

税制改正で得する家計のお金

税制改正で得する家計のお金
平成31年度税制改正について、「消費税率の引き上げに際し、需要変動の平準化などの観点から、住宅に対する税制上の支援策を講ずるとともに、車体課税について、地方の安定的な財源を確保しつつ大幅な見直しを行う(一部抜粋)」と、昨年12月21日に閣議決定されました。
 
つまり、2019年10月の消費税率10%への引き上げに伴う景気悪化を防止するために、政府は住宅、自動車の購入を支える減税策を導入するということです。このように、減税されるものがある一方、家計への課税が強化される改正も行われる予定です。
 
今回は、今年から来年にかけて改正される税制のうち、家計から見て得するものと損するものについて紹介してみたいと思います。
 
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

得する税制改正

■住宅ローン・車体課税の減税
すでに説明しましたように、政府は、住宅、自動車の購入を支える減税策を導入します。
 
住宅については、2019年10月から2020年末までに新たに契約し、入居した住宅について、住宅ローン控除の期間が現行より3年長い13年間へ改正されます。また、自動車については、消費増税後に新たに購入して登録した車について、毎年払う自動車税を年1000~4500円引き下げるなどの減税を行います。
 
■配偶者居住権と相続税
配偶者居住権とは、配偶者が老後も安心して暮らせるように、生活保障を充実させることを狙いとして創設されたものです。
 
相続が発生したときに、配偶者が被相続人(亡くなった人)の所有する不動産の居住権を持つことができる権利をいいます。具体的には、夫に先立たれた妻が、夫の残した家に終身住み続けることができる権利で、2020年4月以降に相続されるものが対象になります。
 
この権利を相続税の節税という観点から見てみます。
 
例えば、亡き夫の遺産が、自宅の土地・建物として4000万円、預金が1000万円だったとします。そのうち、妻が自宅の配偶者居住権として2000万円、預金を500万円、子どもに自宅の所有権として2000万円、預金を500万円という割合で遺産分割をしたとします。
 
その後、妻が死亡した場合、配偶者居住権そのものが、民法上では消滅します。したがって、税法上、子どもへの相続において配偶者居住権(2000万円)は対象にならない可能性があり、その分節税につながると思われます。
 

損する税制改正

最も大きい税制改正としては、みなさんご存じの通り、消費税率の10%への引き上げがありますが、それ以外にも家計に影響があると考えられる改正がありますので紹介します。
 
■子や孫への一括贈与
教育資金の一括贈与は、1人当たり1500万円まで非課税とされる期限を、2021年3月末までと、2年延長されました。しかし、2019年4月以降、贈与を受ける子や孫の所得が1000万円を超えると、非課税のあつかいを受けられません。
 
また、教育資金の用途についても条件が絞られ、23~29歳の子や孫が、学校以外で受ける趣味の習い事は2019年7月以降に対象から外れます。
 
結婚・子育て資金の贈与も非課税の対象(こちらは元々1000万円まで非課税)になっていますが、教育資金同様、期限が2年間延長されます。しかし、贈与を受ける子や孫の所得制限も同様に1000万を超えると、非課税のあつかいを受けられません。
 
■小規模事業用宅地の評価減の特例
親から子どもが家業を継ぎ、そのための土地を相続した場合、条件を満たせば評価額を80%減らせ、相続税額を圧縮できる特例です。
 
しかし、節税目的で相続の直前に家業を継ぐ例が目立ったことから、相続前3年間に事業用とした土地は原則として特例の対象外となりました。2019年4月以降に相続されるものから適用されます。
 
■国際観光旅客税
国際観光旅客税は、原則として、船舶や航空会社(特別徴収義務者)が、チケット代金に上乗せするなどの方法で徴収されます。2019年1月7日から日本から出国する旅客(国際観光旅客等)は、出国1回につき1000円が徴収されることになりました。
 
出典:財務省 平成31年度 税制改正の体網の概要
国税庁ホームページ
祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
国際観光旅客税について
 
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
 

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