更新日: 2021.06.23 その他税金
増税分って、一体何に使われるの? 騙されないために知っておきたい消費税の基礎知識
増税に対して、マイナスなイメージを持っている方もいるかも知れませんが、実際のところ、増収分はどのようなことに使われるのでしょうか? 今回は、私たちが支払っている税金の使われ方について、チェックしていきましょう。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
消費税の特徴
税金には、所得税や事業税など、さまざまな種類がありますが、消費税は全ての消費者に課せられる税金です。消費税には、ほかの税金にはない、いくつかの特徴があります。
まず、消費税は、若者や高齢者などの年代の違いや、高所得者層や低所得者層などの所得の違いに関わらず、全ての世代や人が負担するという特徴があります。
今後、ますます少子高齢化が進んでいくと考えられる日本において、消費税を増税することによって、より安定的な財源を確保することができるというメリットがあります。
また、消費税からの税収額は、景気に大幅に左右されることがないという特徴があります。特に、企業が負担する事業税などは、日本の景気動向によって、大きく税収が変わる可能性がありますが、消費税は、日本人が何か買い物をしたり、サービスを利用したりすることによって、常に課せられる税金です。
消費税率アップによって、景気が悪くなっても、日本政府が比較的安定的な財源を確保することができるのです。
増税分の使われ方
次に、今回の増税によって、政府が実現を目指している政策についてご紹介します。今回の増収分は、全て社会保障に充てられることになっています。
例えば、待機児童問題の解決や、3歳から5歳までの全ての子どもたちの幼稚園・保育所などの費用の無償化に使われる予定です。また、所得が低い家庭では、支援が必要な子どもたちに対して、高等教育の無償化が行われることとなっています。
少子高齢化が進む日本において、介護の問題も深刻です。体力的にもキツイといわれている介護の現場において、消費税の増税分により、介護人材の処遇を改善して、介護離職をゼロにすることを目指しています。
さらにそれぞれの政策内容について詳しく知りたいという方は、財務省のホームページ(※1)をチェックしてみましょう。
軽減税率制度とは?
いくら社会保障のために使われるといっても、税金が上がることによって、毎日の生活が苦しくなるのでは? と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。実は、今回の増税と同時に「軽減税率制度」というものが実施されます。
これは、2019年10月以降、消費税率が10%に引き上げられた後も、日々の生活において必要となる飲食料などの消費税率は8%のままとなる制度です。お弁当などのテイクアウトも軽減税率の対象となるので、毎月の食費に関わる出費は、大きく変わらないと考えられます。
ただし、お酒や外食、ケータリングや出張料理などは、軽減税率の対象外です。さらに、商品やお店の形態などにより、消費税が8%になるのか、10%になるのかが決まってくるので、よく分からない場合は、直接お店の方に聞いてみるようにしましょう。
軽減税率についてさらに詳しく知りたいという方は、こちらの国税庁のホームページ(※2)を確認してみてくださいね。
いかがだったでしょうか? 私たちの生活に密着に関わってくる消費税について、正しい知識を身につけておくことは重要です。今回の記事を参考にしながら、10月の消費税アップまでに、税金の使われ方や、軽減税率について、ぜひ勉強しておきましょう。
参考
(※1)財務省「消費税率引き上げについて」
(※2)国税庁「軽減税率制度とは(リーフレット等)」
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者