更新日: 2021.03.11 控除
介護費用は医療費控除の対象になる?
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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医療費控除のポイント
医療費控除は、生命保険料控除や社会保険料控除などと同様、多くの方が適用できる所得控除の1つです。ただし、控除を受けるには年末調整ではできず、確定申告が必要です。所得控除により課税対象の所得が少なくなるので所得税・住民税の軽減に役立ちます。
所得控除できる金額は、支払った医療費が、所得金額の5%相当額(その金額が10万円を超える場合は10万円)を超える場合に、超える部分(200万円が限度)となります。なお、「保険金等で補てんされる金額」は、その年中(1月1日~12月31日)に支払った医療費の額から控除して計算します。
医療費控除は「自己と生計を一にする配偶者その他の親族」の医療費を支払った場合も合算できます。扶養親族でなくとも構いません。家族の中で所得税率が高い方が利用すると、より大きな節税効果が見込めます。
[医療費控除の計算方法]
(その年中に支払った医療費の額-保険金等で補てんされる金額)-(10万円と所得金額×5%のいずれか少ない金額)=医療費控除(200万円が限度)
医療費控除の対象
医師等の診療等の対価、入院等の費用、医薬品の購入費用、通院費等が医療費控除の対象となります。おおざっぱに言えば、治療目的であれば医療費控除の対象になります。具体的にどのような支出が医療費控除の対象となるか判断の難しいケースもありますので、判断に迷ったら所轄の税務署に確認するようにしましょう。
例えば、人間ドックや健康診断のための費用は、治療を目的とするものではないので医療費控除の対象にはなりません。ただし、健康診断等で重大な疾患が発見され、引き続きその疾病の治療を受ける場合には、医療費控除に含めることができます。かぜの治療のため薬局で購入したかぜ薬代は医療費控除の対象ですが、疲労回復のための栄養ドリンクやビタミン剤の購入費用は対象になりません。
医師による診療等を受けるために、通常必要と考えられる交通費も対象です。タクシーの利用料は、病状からみて急を要する場合や歩行が困難な場合、公共交通機関が利用できない場合などに限り対象になります。自家用車で通院する場合のガソリン代、駐車場利用料、有料道路利用料は、医療費控除の対象にはなりません。患者さんが1人では通院することが困難な場合には、付きそい人の交通費も医療費控除の対象になります。ただし、患者さんが入院中に、家族等が病院に通う場合の交通費は対象にはなりません。
介護費用は医療費控除の対象?
■居宅サービス
居宅サービスには、訪問看護などの医療系サービスと訪問介護(生活援助中心型)などの福祉系のサービスがあります。訪問看護などの医療系サービスの費用は医療費控除の対象となりますが、訪問介護(生活援助中心型)は対象外です。なお、生活援助中心型を除く訪問介護や訪問入浴介護、通所介護(デイサービス)などは、訪問看護などの医療系サービスと併せて利用する場合にのみ対象となります。
●訪問看護
●訪問リハビリテーション
●居宅療養管理指導(医師等による管理・指導)
●通所リハビリテーション(医療機関でのデイサービス)
●短期入所療養介護(ショートステイ)
など
●訪問介護(生活援助中心型を除く)
●訪問入浴介護
●夜間対応型訪問介護
●通所介護(デイサービス)
●認知症対応型通所介護
●小規模多機能型居宅介護
●短期入所生活介護(福祉施設でのショートステイ)
など
●訪問介護(生活援助中心型)
●認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
●特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)
●福祉用具貸与
など
■施設サービス
施設サービスの対価で、医療費控除の対象となるものは、施設により異なります。
特別養護老人ホームでは、施設サービス費の対価(介護費、食費および居住費)として支払った額の2分の1に相当する額が対象です。介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設療養病床、介護医療院では、施設サービス費の対価(介護費、食費および居住費)として支払った額が対象です。
なお、いずれの施設においても日常生活費、特別なサービス費用は対象外です。その他、医師が発行した「おむつ使用証明書」がある場合のおむつ代も医療費控除の対象となります。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。