更新日: 2021.03.27 確定申告

青色申告はどのように始めるの?受けられる優遇措置ってなに?

青色申告はどのように始めるの?受けられる優遇措置ってなに?
自営業者やフリーランスの場合、白色申告よりも青色申告のほうがよいのではないかといわれています。
 
そもそも青色申告とは、どのような制度なのでしょうか? また、青色申告と白色申告では、どのような違いがあるのでしょうか? 
 
今回は青色申告の基本と、申し込み方法について解説していきます。
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

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そもそも青色申告ってなに?

青色申告は納税方法のひとつであり、その年の1月1日から12月31日までに得た収入金額や必要経費を基に、所得金額と税額を正しく計算し、納税するという申告納税制度です。
 
取引に関しては、必ず帳簿を作成しなければならない決まりになっています。
 
原則としては、青色申告の帳簿の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような正規の簿記によらなければなりません。ただし、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けていれば、簡易な記帳をするだけでもよいことになっています。これらの帳簿や書類などは、原則、7年間保存しなければなりません。
 
ただ、書類によっては5年間の保存でよいものもあります。5年間の保存でよい書類としては、具体的に請求書や見積書や納品書や送り状など。もちろん5年で処分してもよいのですが、帳簿を補完する上でも、7年間保存しているほうが安全ですし、見直しや確認できるのでおすすめです。
 

青色申告の優遇措置を確認しよう

帳簿を記入して、7年間保存しなければならないなど、ちょっと面倒なイメージがあるかもしれません。ただ、面倒と感じる以上に優遇措置があります。いったい、どのような優遇措置があるのか、主な内容を説明します。
 

(1)青色申告控除

原則として最高55万円の控除が受けられます。
 
ただし、不動産所得または事業所得を生ずべき事業取引に基づいて作成した貸借対照表、および損益計算書などを確定申告書に添付しなければなりません。
 
また、令和2年分以後の青色申告特別控除について、この55万円の青色申告特別控除を受けることができる人が、電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告を行っている場合は、65万円の青色申告特別控除が受けられるという決まりがあります。
 
上記以外の青色申告者の場合は、不動産所得、事業所得、山林所得を通じて、最高10万円を控除することとなっています。
 
青色申告控除は所得の控除です。所得が控除されれば、課税される金額も少なくなりますので、その分、支払うべき税金を抑えられます。
 

(2)青色事業専従者給与

生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業にもっぱら従事している人に支払った給与は、事前に届け出ることで、必要経費として計上できます。
 
ただし、給与は規定の範囲である必要がありますし、青色事業専従者として給与の支払いを受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族になれません。
 

(3)貸倒引当金

売掛金や貸付金などの貸金の貸し倒れによる損失の見込額として、一括評価で年末の貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、必要経費として認めるというもので、金融業の場合は3.3%です。
 
損失の見込額は、それぞれの事由に応じた限度額までを個別評価によって、貸倒引当金勘定に繰り入れることができますが、その際必要経費に算入された金額の計算の基礎となった貸金は一括評価を行う帳簿価額の合計額から除かれます。
 
一括と個別の評価はちょっと複雑です。慎重に判断していきましょう。
 

(4)純損失の繰越しと繰戻し

事業所得が赤字の場合、損益通算の規定を適用しても控除しきれない部分の金額が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除できます。
 
前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しの代わりに、損失額が生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。
 

青色申告の申し込み方法

申し込む場合は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出すればOKです。
 
また、その年の1月16日以降に新規に事業を開始したときは、業務を開始した日から2ヶ月以内に提出します。
 
申し込み方法は、至ってシンプルですよね。
 
青色申告は簡単に申し込むことができ、さまざまな優遇措置があります。一方、白色申告には、優遇措置が受けられない代わりに帳簿つけも楽チン。簡単な記帳による収支内訳書の提出のみでOKです。
 
どちらがよいのかは、個人の状況によって違ってきますが、55万円の税額控除が受けられる青色申告には、魅力がいっぱい詰まっています。
 
(引用・抜粋)
国税庁「No.2070 青色申告制度」
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
 

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