更新日: 2021.04.16 控除
「虫歯やニキビなどを放っていませんか? 今だからこそ治療を始めたい理由とは」
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
治療を先延ばしにしてきませんでしたか?
高熱が出て起き上がるのがつらい、お腹が痛くて動けない、事故に遭い骨折などをしてしまったなど、日常生活に支障が出るほどの病気やケガの場合は、誰でもすぐに病院に行き、治療を開始するでしょう。
しかしながら、痛むほどではないけど虫歯がある、ニキビなど皮膚の炎症を起こしているが痛みはない、健康診断で再検査を勧められているが重要度を感じないなど、急に容態が変わるものでもないし、痛みも伴ってないし、日常生活や仕事に何も影響がないものは、しばらく様子を見てもいいかなと、通院や検査などを先延ばしにしがちです。
これまで先延ばしにしてきた治療がある方は、コロナ禍ではありますが、今だからこそ治療を開始しましょう。その理由は、治療に数ヶ月かかったとしても、年内に治療が終わるので、医療費控除を受けられる可能性が高くなるからです。
医療費控除は年が変わるとリセットされる!?
医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までの期間に、自分または自分と生計を一にする親族の入院や通院、手術などのために支払った医療費が一定の額を超えると、所得から差し引くことができ、納める税金が少なくなる制度です。
なお、年間の所得が200万円以上の方は、年間の医療費の支払いが10万円を超えないと医療費控除を受けることができません。
治療期間が2ヶ月の例ですが、令和2年12月に6万円の治療費を支払い、令和3年1月に8万円の医療費を支払い、その他の医療費の支払いがない場合、令和2年も令和3年も医療費の支払いが10万円を超えないため、医療費控除を受けることができません。
同じ2ヶ月の治療期間でも、令和3年4月に6万円の治療費、令和3年5月に8万円の医療を支払うと、令和3年の1年間に支払った医療費が14万円となり、そこから10万円を引いた4万円が医療費控除の対象となります。
実際に還付される税金の額は、その方の所得により異なりますが、控除額に所得税率をかけ算した額ですので、大雑把にいうと年間の所得が300万円で、所得税率が10%の場合、医療費を14万円支払うと、医療費控除額は4万円、還付される税金は所得税率の10%をかけた4000円と考えられます。
正確な額は確定申告を行わないと算出できませんが、少額でも還付されると嬉しい気持ちになりますね。
注意するポイント
医療費控除となる医療費は治療目的に限られます。つまり通院や手術をしてもそれが美容目的であれば医療費控除の対象にはなりません。先延ばしにしてきた通院や手術が治療目的となるか美容目的となるか、事前に主治医に確認をしておきましょう。
また、医療費控除の還付のために、急ぐ必要のない治療を急いで受けたり、痛みを我慢して治療を延期したりする必要はありません。
先延ばしにしてきた治療であっても、治療や手術はいつが適切なのか、治療内容も含め主治医とよく相談し、適切な時期に適切な治療を受けるようにしましょう。
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント