更新日: 2019.05.17 その他税金
あげればいいってものじゃない 高額なお年玉には税金がかかるって本当?
お金をもらった=得をしたということで、もらった人に税金を支払う義務が発生するのです。お年玉も例外ではありません。
Text:浅木克眞(あさぎ かつまさ)
税理士、浅木克眞税理士事務所 所長
株式会社横浜みなとみらいマネジメント 代表取締役
横浜市出身。昭和58年税理士登録。皆様の夢の実現・永続発展・様々な「困りごと(経営課題)」に対してワンストップ・トータルサービスで応えています。
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目次
通常のお年玉には税金はかかりません。
お金に限らず、自動車でも宝石でも、財産を他の人からもらった場合は、原則として、もらった金額について贈与税の対象となります。
しかし、お年玉のように年始の慣習となっているようなものまで税金を取られてしまう、というと納得しにくいのではないでしょうか。実は、年末年始の贈答のほかに、お葬式の際の香典・花輪代、祝物又はお見舞いなどのための金銭の贈与については、課税の対象にしないとされています。ですから、「通常の金額の」お年玉については、税金の心配はいらないのです。
では、お年玉を1000万円もらった場合はどうでしょうか?
では、仮にお年玉を1000万円もらった場合はどうなるでしょうか?このケースでは、贈与税が課税される可能性が高いといえます。
先ほど、「通常の金額の」と述べましたが、社会常識から考えて多すぎる場合には、原則どおり、税金がかかるのです。ただし、この「社会通念上相当と認められる金額」というのがやっかいで、50万円ならばOKだけれども、100万円だったらNGといった明確な線引きはありません。
家族や地域によっても異なりますし、それぞれの財産・収入によっても変わってきますので、なかなか判断が難しい部分です。
例えば、芸能人同士の結婚式で、大御所の方から分厚い封筒に入ったお祝いをもらった、なんていう話をニュースで聞くことがありますが、芸能界の相場からして通常であれば、問題ないということになります。結婚式のお祝いでいくら渡すか、お葬式でいくら包むか、想像してみると様々ですよね。
その時々で、ちょっと多すぎるかなと感じる場合は、注意すると良いでしょう。
仮に1000万円のお年玉をもらったとした場合、どれぐらいの税金がかかるのでしょうか。
お年玉が社会常識よりも多かったといっても、すぐに税金を支払う義務が発生するわけではありません。全ての贈与に税金をかけていたら、納税する人も税務署も大変ですよね。そこで、基礎控除という枠を設定し、その範囲内の金額であれば税金がゼロになるという仕組みになっています。金額はちょっと中途半端ですが、年間110万円です。
また、贈与税の課税対象額は、(1)もらった人一人あたり、(2)年間額(1/1から12/31)で計算されます。ですから、仮に3人の人からそれぞれ100万円ずつもらったとすると、基礎控除は110万円だけで、100万円×3-110万円=190万円については、贈与税の対象となってしまいます。
それでは、具体的に、1000万円のお年玉をもらって税金がかかるとなった場合、どれぐらいの金額がかかるのでしょうか。贈与税についても、所得税と同様に、もらった金額が増えるほど税率が上がる「累進課税」が採用されています。税率は下記の通りで、2パターンあります。
【通常の税率】
【特例の税率】
祖父母や父母など(直系尊属)から、20歳以上の子・孫などへの贈与
(※国税庁HPより転載)
おじいちゃんから小学生のお孫さんにというケースと仮定すると、通常の税率が適用されます。
<計算式>
1000万円-110万円=890万円 ・・・ 基礎控除後の課税価格
890万円×40%-125万円=231万円 ・・・ 贈与税額
このケースでは、1000万円のお年玉をもらっても、なんと231万円も税金を支払わなければならないのです。
大きなお金を動かす際は、注意が必要です。
今回はお年玉を題材に取り上げましたが、たとえ家族間であってもお金や財産をあげたりもらったりする際は、税金がかかることがあります。事前に正しい知識をもって、おもわぬ納税に驚くことがないようにしていきたいものですね。
Text:浅木克眞(あさぎ・かつまさ)
税理士
浅木克眞税理士事務所 所長
株式会社横浜みなとみらいマネジメント 代表取締役
http://www.asagi-tax.com/