年金暮らしの方が、ふるさと納税や医療費控除を利用する際の注意点とは?

配信日: 2021.04.26

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年金暮らしの方が、ふるさと納税や医療費控除を利用する際の注意点とは?
医療費控除やふるさと納税といった税に関する関心が高まり、節税をはじめ諸制度の有効利用を行う方が多くなりました。しかし、年金暮らしの方が現役世代の方と同じ方法で行ってしまうと思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性もあります。
 
今回は年金暮らしにおける医療費控除とふるさと納税について解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

医療費控除における注意点

医療費控除は、その年において自己または生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費から、保険金などで填補・給付される金額を引いたものが一定額を超えるときは、その医療費を基に算出される金額分を所得から控除できるという税制上の優遇措置です。
 
「医療費控除は10万円を超えたら」といわれることがありますが、実はそうではありません。医療費を支出した年の総所得金額が200万円未満の方は、支払った医療費から総所得金額の5%を引いた部分の金額を医療費控除の金額とすることができます。
 
例えば、医療費が20万円、総所得金額が70万円の方であれば、次のように16万5000円もの医療費控除の適用を受けることができます。
 
医療費控除の額=医療費20万円-総所得金額(70万円)×5%=16万5000円
 
特に、年金生活者は所得控除が優遇された点も相まって、総所得金額が200万円未満となることも少なくありません。医療費の額が10万円以下であったからと医療費控除の適用を諦めず、まずは総所得金額がいくらであるか計算してみましょう。
 

ふるさと納税における注意点

ふるさと納税は、任意の自治体に寄付した部分から自己負担分である2000円を除いた部分について税額控除を受けられるというものになります。
 
普段払っている税金に、上乗せして2000円を出すだけで税金から寄付分が控除された上に、返礼品として日用品や食料品、地域の特産品を得られるということで人気を博している制度です。しかし、年金生活者が何も考えず流行に乗ってふるさと納税をしてしまうと、損をする可能性があります。
 
なぜなら、ふるさと納税はあくまで寄付した金額分が税額控除されるというものであるため、そもそも所得税や住民税が発生する方でなければ、税額控除のメリットを受けることができないのです。
 
ふるさと納税をする際はその年の収入が所得税や住民税の発生ラインにあるか、よく確認するようにしてください。特に年金収入のみで生活している場合、所得税や住民税が発生しない方も多いため、その点注意が必要です。
 
また、ふるさと納税は収入によって上限額が定まっているため、やればやる分控除されるというわけでもありません。ふるさと納税を行う際は、所得税と住民税が発生するだけの収入があるか否か、上限額はいくらであるかをしっかりと確認してから行うようにしてください。
 

年金生活者は自分に税金が発生するかをしっかり見極めて

医療費控除やふるさと納税など、年金生活者でも使える節税策や税金対策はどんどん利用していくべきです。しかし、これらの制度は自身の所得税や住民税について考えずに行うと、かえって損をしてしまうこともあります。
 
年金生活者が医療費控除やふるさと納税などの税金対策をする際は必ずその制度の仕組みを調べ、自身に控除できるだけの税金が発生するかどうかを見極めた上で行うようにしてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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