更新日: 2021.05.27 控除
2021年から住民税が変わる? 変更点は?
実は、住民税にかかわらず税金の制度はたびたび変わっています。今回の住民税の変更は、所得税の変更が影響しています。
2020年の所得税の控除額が変更になっており、基礎控除額が38万円から48万円に上がっています。控除額とは、収入金額から引いてもらえる金額です。基礎控除が10万円上がった分、実は、給与所得控除が65万円から55万円に下がっています。給与所得者にしてみれば、プラスマイナス0ということになります。
また、公的年金等控除額も10万円下がっています。基礎控除を10万円上げた分、その他の控除額を10万円下げているわけです(※)。医療費控除や住宅ローン控除などで確定申告をされた方はご存じかもしれませんが、例年の確定申告は2月16日から3月15日ですが、2019年と2020年分の確定申告は新型コロナの影響で4月15日まで延長されていました。
住民税は所得税の申告を元に行われているため、個人的には申告をした覚えがないのに、住民税の決定通知がくるのはこのためです。では、住民税はどう変わるのでしょうか?
執筆者:高畑智子(たかばたけ ともこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者
住民税の計算方法
住民税は少し遅れて支払う形になっています。先に挙げた所得税は2020年1月~12月を、給与所得者であるならば2020年の年末調整で、確定申告をした人は2021年4月15日までに確定して納税することになります。
住民税は、その年末調整または確定申告により決まってくるため、2020年に対する税額が決まるのは2021年の6月です。給与所得者が会社を辞めた場合、忘れた頃に住民税の請求がきてびっくりするのは、このような流れになっているためです。
住民税は「均等割」と「所得割」の合計額で請求されます。「均等割」は、
道府県民税1500円+市区町村民税3500円=5000円
となっています。
この「均等割」については、変更はありません。
それに対して、「所得割」は所得に応じて金額が算定されます。「所得割」は所得税と同じように所得控除があります。控除できる主な内容は以下のとおりです。
1.基礎控除 すべての納税義務者が一律に受けることができる控除
2.配偶者控除 控除対象の配偶者がいる場合に受けることができる控除
3.配偶者特別控除 1年間の給与が103万円(所得金額48万円)を超え、約201万円(所得金額133万円)以下の配偶者がいる場合に受けることができる控除(控除額はその所得金額により変動)
4.扶養控除 扶養親族がいる場合に受けることができる控除
5.社会保険料控除 国民健康保険・国民年金・介護保険料などの社会保険料を支払った場合に受けることができる控除
6.生命保険料控除 生命保険や個人年金保険などの保険料を支払った場合に受けることができる控除
7.医療費控除 自身や生計を同一にする配偶者、または親族のために医療費を支払った場合に受けることができる控除
8.小規模企業共済掛金控除 小規模企業法にある共済契約の掛金や、確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金、または個人型年金加入者掛金、地方公共団体による心身障害者扶養共済掛金などを支払った場合に受けることができる控除
その他に、雑損控除や寡婦控除、障害者控除、勤労学生控除、地震保険料控除があります。
住民税の「所得割」の計算は所得税と同様に所得から、これらの控除をした後に、税率をかけて金額が決定されます。
今回、変わったのは、1.基礎控除です。2020年分(請求は2021年5月以降)は、所得税と同じように10万円上がって33万円から43万円になりました。しかし、これはすべての人に対して適用されるわけではなくなりました。
住民税の基礎控除
基礎控除が所得金額に応じて変更となっています。所得に応じて控除できる金額が以下のように区分されることとなりました。
合計所得金額が
2400万円以下:43万円
2400万円超~2450万円:29万円
2450万円超~2500万円:15万円
2500万円超:0円
このように、これまで一律33万円控除だったものが、合計所得金額が2400万円以下であれば10万円増加の43万円に、2400万円を超えていれば所得に応じて改正前の33万円よりも少なくなるように変更されました。そのため、2400万円を超える所得のある人は、控除額が小さくなるため、税金が増えることとなります。
これはそれなりの所得がある人はその分、住民税の負担をしてくださいという考え方から改正されたと思われます。
(※)厳密には、電子申告による青色申告の控除額は下がっていませんが、これは電子申告を進めるための政策的な側面があります。
執筆者:高畑智子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者