更新日: 2021.09.18 年末調整
家族の生活スタイルが変化。「年末調整」で控除申請できるものとは?
年末調整では、利用できる控除を使うことでその年に払いすぎた税金が返ってきます。控除には種類があるので、自分の使えるものを把握することが大切です。
この記事では、年末調整で使える控除を解説します。税金の支払額が気になる人はぜひチェックしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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年末調整とは?
年末調整は、1年間の源泉徴収税額を正しく計算し、所得税を確定させるための制度です。
年末調整は、会社に給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出している会社員に対して行います。年末調整を行うことで、支払いすぎた税金を本来の額にできる可能性があるので、会社員ならしっかりと確認しましょう。
ただし、1年の給与収入が2000万円を超える場合など、年末調整の対象とならないケースもありますので、事前に確認を怠らないようにしてください。年末調整の対象とならない場合は、確定申告にて正しい税額を申告する必要があります。
ここからは年末調整の詳しい内容を解説するので、ぜひ参考にしてください。
年末調整の目的
年末調整が必要なのは、以下の理由によるものです。
・源泉徴収票は毎月給与の変動がない前提で作られているため
・源泉徴収額は扶養対象家族に変動がない前提で作られているため
・生命保険料や地震保険料の控除は年末調整で行う必要があるため
年末調整を行うことで、税金の支払額は本来のその人に合ったものになります。毎月給与が変動する会社員は、税金を正しく支払えているほうがまれなので年末調整はしっかり行いましょう。
年末調整の時期
年末調整が行われる時期は、名前のとおり年末です。期末の3月ではなく、年末の12月に行われると認識しておきましょう。
もし、年末調整について会社から連絡がない場合、手続きが遅れているかもしれません。担当の人や上司に相談をしてみましょう。
年末調整で申告できる控除
年末調整では、対象となる控除を申告し、本来支払いが必要な税金を改めて計算してもらいます。年末調整で申告できる代表的な控除は、以下のとおりです。
・基礎控除
・配偶者控除
・扶養控除
・障害者控除
・生命保険料控除
・寡婦控除
・勤労学生控除
・ひとり親控除
・住宅借入金等特別控除(2年目以降)
ここからはそれぞれの控除の内容と、どんなケースで申告が必要になるのか解説するので、ぜひチェックしてください。
基礎控除
基礎控除とは、所得に応じてすべての人が使える控除です。所得に応じた基礎控除の額は、以下のとおりです。
納税者の所得 | 控除額 |
---|---|
2400万円以下 | 48万円 |
2400万円超~2450万円以下 | 32万円 |
2450万円超~2500万円以下 | 16万円 |
2500万円以上 | なし |
一般的な年収であれば、基礎控除額は48万円です。基礎控除が申告されているか、しっかり確認しましょう。
配偶者控除
配偶者控除は、控除対象配偶者がいる場合に使える控除です。具体的には、控除を受ける納税者本人の年間合計所得金額が1000万円以下で、配偶者の年間合計所得金額が48万円以下の場合が対象です。
新たに結婚して配偶者が専業主婦(夫)もしくはパート・アルバイトのみとなったときは、使える可能性が高いでしょう。
配偶者特別控除の額は、配偶者の所得と給与所得者の所得によって細かく変わります。配偶者の正しい所得を把握し、記入するようにしましょう。
扶養控除
扶養控除は、16歳以上の子供や高齢者など扶養している家族がいる人向けの控除です。扶養者の年齢によって控除額は異なり、38万円~63万円となっています。
最も高い63万円の控除は、扶養者が19歳~23歳未満のときに受けられます。子供が成長したり、新しく親や親戚を扶養したりしたケースに使えるようになるので、気をつけて記入しましょう。
障害者控除
本人やその配偶者、扶養親族に障害を持つ人がいる場合に使える控除です。障害の区分によって異なりますが、控除額は27万円~75万円です。
生命保険料控除
生命保険料控除は、生命保険料の支払額を課税対象から外す控除です。支払った生命保険料に応じて控除額が決まります。
ただし、最大で所得税12万円まで、住民税7万円までの控除となる点に注意しましょう。
地震保険料も同様に控除されるため、新たに加入した人や、すでに保険に加入した人は忘れずに記入してください。
寡婦控除
寡婦控除は、夫と離婚後婚姻しておらず、扶養親族がいる人で、所得が500万円以下の人、または夫と死別したあと婚姻をしていない人で、所得が500万円以下の人が使える控除です。
寡婦控除額は、一律27万円です。夫と離婚した人、死別した人は利用できるかどうか確認しましょう。
勤労学生控除
勤労学生控除は、働く学生が使える控除です。新たに働き始めた学生は、使えるか確認しましょう。
勤労学生の控除額は、一律27万円です。ただし、控除が受けられるのは合計所得金額が75万円以下の勤労学生です。
ひとり親控除
配偶者がおらず、ひとり親の人は控除が使えます。ひとり親の控除額は、一律35万円です。
離婚をした人、寡婦(夫)となり子供を1人で育てている人は利用できるか詳しく確認しましょう。
住宅借入金等特別控除
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)では、優良住宅を住宅ローンなどで新たに購入した場合に使える控除です。コロナ禍の影響で、控除期間は最大13年に延長されています。
控除額については非常に複雑なので、家を買った人は国税局や税務署で一度無料相談するのがおすすめです。
年末調整では使える控除を生かそう
年末調整は払いすぎた税金を取り戻せる貴重なチャンスです。使える控除は最大限活用し、税金の払いすぎを防ぎましょう。
使える控除がよくわからない場合は、まず会社の担当者に相談してください。それでもよくわからないときは、税理士に相談するのも有効です。不明点は早めに聞いて、税金の悩みを解消しましょう。
出典
国税庁「No.1199_基礎控除」
国税庁「No.1191_配偶者控除」
国税庁「No.1180_扶養控除」
国税庁「No.1160_障害者控除」
国税庁「No.1140_生命保険料控除」
国税庁「No.1170_寡婦控除」
国税庁「No.1175_勤労学生控除」
国税庁「No.1171_ひとり親控除」
国税庁「No.1213_認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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