更新日: 2021.10.14 確定申告
確定申告の準備、年内から始めてみませんか?
期限ギリギリに慌てて申告を行うより、余裕をもって申告したいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
今回は、年に一度の確定申告をスムーズに行うために、年内からどのような準備を行っておけばよいのかをお話します。
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
目次
確定申告とは?
基本中の基本になりますが、所得税の確定申告は、個人が毎年1月1日~12月31日の1年間の所得を計算した上でその所得税を計算し、納付すべき所得税を納税する一連の手続きです。申告期間は原則、翌年の2月16日~3月15日となっています。
なお、期限日が土日や祝日の場合は、休日明けの平日が期限です。
確定申告時の提出書類は
個人事業主やフリーランスの方が確定申告時に提出する「確定申告書」は、様式Bとなります(様式Aは主に会社員や年金受給者が使用します)。
また、最大65万円の特別控除といった節税メリットの多い「青色申告」と、記帳や提出書類がシンプルな代わりに節税メリットの少ない「白色申告」の2種類があります。
青色申告の場合は、損益計算書や貸借対照表等の記載が必要な「青色申告決算書」、白色申告の場合は、1年間の売上、仕入、経費等を記載した「収支内訳書」の提出が必要です。
よって、個人事業主やフリーランスの方の場合、「確定申告書B」プラス「青色申告決算書」または「収支内訳書」ということになります。
確定申告のために普段から準備しておきたいもの
事業所得に直結する「青色申告決算書」や「収支内訳書」を正しく作成するためには、どのようなことに気を付けたらよいのでしょうか。
事業者には1年間に生じた所得を正しく計算して申告するために、帳簿や領収書などの関連書類を一定期間保存することが義務づけられています。つまりこの帳簿と領収書の取り扱いが重要となってきます。
まずそのためには、定期的に帳簿を付ける必要があります。帳簿は売上や仕入だけではなく、交通費や消耗品費、通信費と言ったような経費を記録するものです。
事業内容にもよりますが、例えば小売であればこれを何日間かためるだけでも、さかのぼって記載するのは抜け漏れが出てもおかしくありません。
もちろん業態によっては、日々のお金の動きがない業種もあるので一概にはいえませんが、せめて1、2週間に一度は期間中の取引を記載しておくのがよいかもしれませんね。
領収書に関しても「お品代」としか書いてない領収書であれば、裏に具体的な内容を記載することによって、帳簿作成時にどの勘定科目なのか分かるようにしておく必要があります。
また、費用は少々かかりますが会計ソフトを利用すれば、日々のデータを打ち込むだけで記帳ができるので手軽で間違うこともなく、時間の節約に加えて、売上や経費の推移も確認できるのでビジネス上もメリットがあるかもしれません。
確定申告時に必要なそれ以外に収集しておくべき証明書等は?
(出典:国税庁ホームページ(※))
上記は確定申告書様式Bの左下の一部分です。
これらは直接事業とは関係ありませんが、確定申告時には、ここに記載してある「社会保険料控除」、「小規模企業共済等掛金控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「雑損控除」「医療費控除」そして「寄附金控除」の控除を受けるために必要となる証明書一式を収集する必要があります。
保険料や掛金に関しては、基本的には年内に送られてくることが多いです。また、これ以外でも住宅ローンがある方はその証明書を収集する必要があります(住宅ローンの場合は、申告書では右上に記載します)。
この項目は、会社員の方は医療費控除以外は事業者が年末調整で行ってくれますが、万一提出を忘れていた場合でもご自身で行うことができますので、頭の片隅に入れておいてもよいと思います。
保管義務もあります
領収書や控除証明書等は、「いつ、何を、いくら支出(入金)したか」を証明するための証憑(しょうひょう・取引があったことを証明するための書類)です。
確定申告後も税務署の調査があるときには開示できるようにしておく必要があります。保管方法に決まりはありませんが、月別や勘定科目別にファイルするなどして、紛失しないように日頃から大切に保管しておきましょう。
申告のためだけではない
確定申告は毎年年明けに一気に片づけよう、という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「一時支援金」や「月次支援金」を受けるためには、その月までの売上を提出する必要があります。
支援金のために作成するわけではありませんが、上記で述べたとおり売上や経費の推移も確認できるので、ビジネス上の観点からもできるだけこまめに記帳することをお勧めします。
出典
(※)国税庁「所得税及び復興特別所得税の申告書B 様式 例」
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表