更新日: 2021.11.03 ふるさと納税
ふるさと納税と控除の話。実際、住民税はいくら安くなる?
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
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本当の目的は地域貢献?!
この制度が創設された目的は、過疎などにより税収が減少している地域と、都市部で税収が安定している地域との、税収の地域間格差を是正することです。
ふるさと納税メリットは、節税になるだけではありません。そもそも、ふるさと納税は、自分の好きな自治体を選んで、その自治体に寄付ができるというものであり、寄付をした自治体から、さらに返礼品を受け取れるというのがメリットです。また、寄付したお金を何のために使うのか、使い道そのものを選べますので、寄付金の使い道を知ることもできます。
以前は、自治体が競い合うようにとても豪華な返礼品を準備していましたが、法律が見直されたことにより、返礼品は「寄付額の30%」までと規制を受けるようになりました。とはいえ、地域の特産物等を受け取ることができますので、税額控除+返礼品が受けられるのは、メリットであるのに間違いありませんね。
ふるさと納税をすると、住民税はいくら安くなるの?
ふるさと納税は、本来、住んでいる自治体に納めなければならない税金を、自分の好きな自治体を選んで寄付することで、住民税や所得税が控除される仕組みになっています。
控除を受けられる上限は納税額によっても違いがあり、控除される金額は、寄付金から2000円を引いた金額と決められています。このため、ふるさと納税額が2000円だったときには、税額控除は受けられないことになります。
ふるさと納税の控除額を求める計算式は、下記のとおりです。
(1)所得税の控除額
(ふるさと納税額-2000円)×所得税率=所得税の控除額
ただし、対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限です。
(2)住民税の控除額(基本分)
(ふるさと納税額-2000円)×10%=住民税からの控除(基本分)
ただし、総所得金額等の30%が上限です。
(3)住民税の控除額(特例分)
(ふるさと納税額-2000円)×(100%-10%(基本分)- 所得税の税率)
=住民税からの控除(特例分)
(4)住民税の控除額(特例分)
住民税所得割額×20%=住民税の控除額(特例分)
※(3)で計算した場合の特例分が、住民税所得割額の2割を超える場合は、上記(3)の計算式となります。(4)の場合、(1)、(2)および(3)の3つの控除を合計しても(ふるさと納税額-2000円)の全額が控除されず、実質負担額は、2000円を超えます。
※具体的な計算については、住所地の市区町村に問い合わせください。
なお、政府では、2000円を除いた後、ふるさと納税で納めた金額が全額控除される目安の一覧表を作成しています。
例えば、年収400万円で夫婦(ふるさと納税をした者の配偶者に収入がない場合)2人家族の上限控除額は3万3000円ですが、同じ年収400万円であっても、夫婦(同)と大学生と高校生の子どもの計4人家族の上限額は1万2000円です。自分の場合はどうなのか、確認してみましょう。
(出典:総務省「全額(※)控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安 (※)2000円を除く」(*1)、総務省「控除額(目安)のシミュレーション」(*2))
確定申告が必要になる
国は、すべての国民がどのような控除を受けられるのか、把握していません。そのため、ふるさと納税で寄付をしたときには、確定申告をすることが必要です。申告後のことも知っておきましょう。
所得税の控除は還付金として確定申告後に戻ってきますが、住民税は、ふるさと納税を行った翌年度の住民税から控除される仕組みになっています。
確定申告が面倒だな……という人向けに、ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」があります。
本来であれば、給与所得者等は確定申告が不要なのですが、申告がふるさと納税のみなら、確定申告を行わなくても、ふるさと納税の寄付金控除を受けられる、「「ワンストップ特例制度」を利用するとよいでしょう。
特例ですので申請が必要で、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内であることや、ふるさと納税を行うとき、各ふるさと納税先の自治体に特例の適用に関する申請書を提出するといった要件を満たす必要があります。
ふるさと納税は、自分の応援したい自治体やプロジェクト等に寄付しながら、返礼品まで受け取れるいうもの。ふるさと納税の専門サイトもありますので、気になるものがあったら、社会貢献の一環として、チャレンジしてもよいでしょう。
出典
(*1)総務省「全額(※)控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安 (※)2000円を除く」
(*2)総務省「控除額(目安)のシミュレーション」
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
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