更新日: 2021.11.09 控除

子どものアルバイト、扶養から外れない収入の上限はいくら?

執筆者 : 飯田道子

子どものアルバイト、扶養から外れない収入の上限はいくら?
長引くコロナ禍のため、家計の収入が減ってしまった世帯では、親の給与だけをあてにするのではなく、大学生等の子どもなら、自分のお小遣いや生活費、状況によっては家族のために生活費を稼ぐこともあるかもしれません。そのような場合、気になるのが子どもの収入です。
 
扶養から外れてしまうと、新たに発生する税金や社会保険料の支払いをしなければなりません。扶養から外れない範囲の収入はいくらなのでしょうか?
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

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1年間の収入の上限は、103万円をキープすること!

子どもの扶養控除額は、年齢によって違いがあります。具体的には、16歳以上18歳以下までの控除額は、1人あたり38万円です。一方、19歳以上23歳未満の控除額は、1人あたり63万円となっています。
 
国税庁によれば、アルバイトの収入が103万円以内なら、親の扶養にとどまることができますが、103万円を超えてしまうと、親の扶養から外れることになってしまいます。つまり、上限は103万円ということになります。
 
もし、親の扶養から外れた場合、扶養している親の年収から控除する金額が減ってしまいます。そのため、控除額が減ることになりますので、たとえ前年と同じ金額の収入が得られていても、課税される金額が増えてしまうため、親の収入は減ってしまいます。
 

収入はこまめにチェックすること

子ども本人としては、アルバイトをして、できるだけ稼いで自分のお小遣いを増やしたいと思っているかもしれませんね。子どもとしては、自分のお小遣いが増えることで、家計全体の収入が減ってしまう可能性があるなんて考えられないことだと思います。親がヤキモキするのではなく、子どもに扶養控除を外れない金額までの収入にするよう、しっかりと伝えておくことが大切です。
 
アルバイトの種類にもよりますが、繁忙期になると、いつも以上にシフトに多く入ってしまうことにより、予想以上に収入を得てしまうということが考えられます。年収103万円は、月収に換算すると、約8万5000円です。まずは、ボーダーラインとして毎月の収入として8万5000円を超えないようにすることが大切です。
 
また、シフト勤務の場合、毎月の収入にバラつきが出てしまうことは少なくありません。その場合は、累計でこの1年でいくら稼いでいるのかをチェックし、残り期間の収入の枠として、いくらまで稼いでも良いのかを把握できるよう、こまめにチェックすることが大切です。
 
その中で勘違いしてしまいがちなのが、1年の把握です。
 
基準は、あくまでも収入ベースですので、その1年間に得られた収入で103万円以内ということです。アルバイト代をもらう場合、多くが翌月に支払われると思いますので、前年の12月から本年の11月までの働いた金額が、その1年の1月~12月に得られる収入となります。注意してください。
 
アルバイト先から急なシフトチェンジを依頼されたときには、できる限り手伝いたいと思うかもしれませんが、扶養から外れることはできないことを周囲に伝えておき、翌月以降で勤務日数を調整してもらえるよう、お願いしておくことが大切です。
 

130万円を超えると、健康保険も自分で加入しなければならない

学生の場合、勤労学生控除というものも受けられます。上記の103万円(給与所得控除55万円+基礎控除48万円)にプラスして、勤労学生控除の27万円の130万円までは、子どもに所得税はかかりません。
 
それなら130万円まで稼いだほうが得なんじゃない? と思うかもしれませんね。
 
ただ、130万円を超えた収入があると、親と同じ健康保険証に名前を連ねることができずに、自分で保険料を支払わなくてはならなくなり、支出が増えてしまいます。結果的に収入は減ってしまうことになるので、130万円以内になることを意識しましょう。
 
大学生からすると、ちょっと面倒なお金の管理。とはいえ、103万円、130万円という壁を知っておくことで、家計全体の可処分所得が増えたり減ったりすることを理解しておけば、効率の良い働き方の勉強にもつながります。子どもに理解してもらうためには、親が仕組みを理解しなければなりません。家族みんなで、課税や税額控除などの仕組みについて、考えてみてはいかがでしょうか?
 
出典
国税庁「No.1180 扶養控除」
国税庁「No.1175 勤労学生控除
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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