更新日: 2021.12.12 控除

今年、災害や盗難に遭った人は「雑損控除」で所得控除を。確定申告までにすべき準備とは?

今年、災害や盗難に遭った人は「雑損控除」で所得控除を。確定申告までにすべき準備とは?
2021年に災害や盗難などの被害に遭った方に知っておいていただきたいのが「雑損控除」です。雑損控除とはどんな制度で、利用するにはどのような準備が必要になるのでしょうか。簡単に解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

雑損控除の概要

雑損控除とは、災害、盗難、横領によって下記(1)と(2)の両方に該当する資産に損害を受けた場合に適用できる所得控除です。

(1)損害を受けた資産の所有者が次のいずれかであること

●納税者本人
●納税者本人と生計を一にする配偶者や他の親族で、その年の総所得金額等が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)

(2)棚卸資産、事業用固定資産等、または「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること

上記の「生活に通常必要でない資産」とは、別荘など趣味、娯楽、保養、鑑賞の目的で保有する不動産や、貴金属、書画、骨董など1個または1組の価額が30万円超のものなど、通常の生活では必要としない動産のことです。
 

具体的な災害の範囲は?

雑損控除の対象となる災害は下記のとおり、幅広いものになります。

●震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
●火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
●害虫などの生物による異常な災害
●盗難
●横領

例えば台風による被害や、近隣からの火災に巻き込まれてしまった状況などが該当します。また、盗難や横領の被害も含まれますが、詐欺や恐喝などは雑損控除の対象ではありません。
 

雑損控除の金額は?

雑損控除により控除される金額は、下記の計算式のうち、いずれか高い方になります。

●(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
●(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

損害金額や災害等関連支出、災害関連支出の金額など、それぞれ定義が定められており、個別のケースではどこからどこまでがその範囲に該当するのか、判断が難しいこともあります。詳細については専門とする税理士や最寄りの税務署、自治体の災害相談窓口などへご相談ください。
 

確定申告までに準備しておくことは?

雑損控除の適用を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
 
具体的には、確定申告書に雑損控除についての事項を記載した上で、災害等に関連する支出の領収書などを添付または提示します。
 
そのため、雑損控除を受けようとする場合は確定申告自体の準備と、災害などための支出を証明できる書類を用意しておかなければなりません。
 
領収書は紛失したり、もらい忘れることも多くあります。さらに、自然災害に遭われた方が罹災証明を取得しようと思った場合、災害の規模によって数週間から数ヶ月がかかる可能性もあるため、早めに準備を進めておく必要があります。
 
また、サラリーマンの方などは確定申告書を作成する際、会社から受け取った源泉徴収票も必要となるので忘れないでください。
 
なお、確定申告による雑損控除は5年前までさかのぼって申請できますが、申請が遅れると控除の適用も遅くなってしまうため、対象となる支出があった年分の確定申告で申請できるように準備しておくことをおすすめします。
 
また、損害額が大きく、その年の所得金額から控除しきれない場合は、翌年以降3年を限度に繰り越し控除が可能となっています。
 

災害や盗難などの被害にあった方は雑損控除の検討を

雑損控除は災害や盗難、横領などによる損害を受けたときに、一定の所得控除を受けられるものです。確定申告が必要となりますが、災害などに遭われて財産に被害が生じた場合は適用を検討してみてください。
 
出典
国税庁 No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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