自分は対象? 確定申告が必要な人・したほうが良い人って?
配信日: 2022.01.05
今回は、確定申告を行う必要がある人と確定申告をしたほうが良い人(節税ができる人)がいますので、解説してみます。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
確定申告が必要な人
(1)個人事業主やフリーランスの人
飲食店や美容室、雑貨店などを営んでいる個人事業主や、ライター、カメラマン、デザイナーなどのフリーランスなどは確定申告をする必要があります。ただし、所得が基礎控除額(48万円)以下の人は確定申告をする必要はありません。
(2)一定以上の公的年金を受給している人
一定以上の公的年金を受給している人は確定申告をする必要がありますが、年金所得者に関わる確定申告不要制度があり、該当する人は確定申告をする必要がありません。
具体的には、公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合において、公的年金等に関わる雑所得以外の所得金額が20万円以下であるときは、所得税等の確定申告は必要ありません。
ただし、この制度により確定申告の必要がない場合であっても、雑損控除や医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除など所得税等の還付を受けるためには、確定申告をする必要があります。
(3)株取引で一定の収入がある人
株取引で確定申告をしなければならない人は、証券取引を一般口座もしくは特定口座の源泉徴収なし(簡易申告口座)で行っている場合です。それ以外の源泉徴収ありの口座で取引している人は源泉徴収が行われるため、確定申告をする必要はありません。
また、NISAやつみたてNISAなどの非課税投資枠内で投資を行っている場合も確定申告をする必要はありません。
(4)副業による所得が一定以上ある人
最近では副業をする人が増えています(※)。ただし、会社員が副業をしている場合、注意が必要です。会社員でも給与所得以外に副業による所得が20万円を超える場合には、基本的に確定申告が必要です。
(5)給与収入が多い人
通常の会社員なら勤務先で年末調整を行ってもらえるので、確定申告をする必要がありませんが、給与の収入金額が2000万円を超える場合には、確定申告が必要です。
確定申告をしたほうが良い人(節税ができる人)
会社員は、基本確定申告をする必要はありませんが、次のような場合には、確定申告をすることによって税金が戻ってくる場合があります。該当する人は確定申告をするようにしましょう。
(1)一定の医療費を支出したとき
その年の1月1日から12月31日までの間に、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除(医療費控除)を受けることができます。
(2)特定の寄附をしたとき
納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合には、所得控除(寄附金控除)を受けることができます。
(3)マイホームを取得して、住宅ローンのあるとき
住宅ローン減税制度は、住宅ローンを利用して住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度がありますので、住宅を取得した場合には必ず活用するようにしましょう。
(4)年の途中で退職したとき
年の途中で退職し、個人事業主やフリーランスなどになった場合には、会社が年末調整をしてくれません。所得税および復興特別所得税の源泉徴収税額が納め過ぎになっているときには、確定申告をしないと還付金を受け取ることができないので注意をしましょう。
(※)
厚生労働省労働基準局提出資料「副業・兼業の現状1(前回の資料のリバイス)」
(出典)
国税庁「確定申告が必要な方」
国税庁「令和2年分 確定申告特集」
国税庁「No.1150 一定の寄付金を支払ったとき(寄付金控除)
国土交通省「すまい給付金/住宅ローン減税制度の概要」
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー