更新日: 2022.01.14 税金

【おさらい】ふるさと納税の返礼品は地場産品が条件のはず。これって「地場産」になるの?

執筆者 : 上野慎一

【おさらい】ふるさと納税の返礼品は地場産品が条件のはず。これって「地場産」になるの?
ふるさと納税制度は「納税」と呼ばれますが、実は自治体(都道府県、市区町村)への寄付です。
 
近年ヒートアップした返礼品の過剰なサービス合戦にブレーキをかける「指定制度」が導入され、今では返礼品は、返礼割合3割以下かつ地場産品とされています。
 
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

外国産牛肉の製品が返礼品?

ふるさと納税の地場産品とは、「当該都道府県等の区域内において生産された物品または提供される役務その他これらに類するもの」です(※1)。
 
返礼品そのものが雇用創出や新たな資源発掘など地域経済の活性化につながっているか。また地域の中で(新たな)付加価値が生み出されているか。そうしたことが重視されるのです。
 
ふるさと納税のサイトの中で、福岡県内のある市が1万円の寄付で牛肉製品の返礼品を提供していて、次のようなポイントが強調されていました。


 ◇秘伝コク旨たれ漬け 牛サガリ肉(ハラミ)
 ◇1頭の牛から取れる量が非常に少ない部位を、職人が丁寧に焼き肉用にカットし、秘伝の醤油たれで漬け込んだ
 ◇1.5キログラム(300グラム×5パック)

驚いたのは商品説明欄。産地は何と「オーストラリア、カナダ」だったのです。
 
また隣接する市でも、1万円の寄付で同じような牛ハラミたれ漬け商品の返礼品を提供していました。2キログラム(500グラム×4パック)とさらに大量で、こちらの産地は「ウルグアイ、ポーランドほか」でした。
 

「地場産品」と認められるワケとは

牛肉は、ふるさと納税返礼品の人気アイテムの1つ。「○○牛」や「地元産黒毛和牛」といったアピール例も多数見かけます。しかし、焼き肉用にカットしてたれに漬け込む加工工程を地元で行うなどすれば、原料自体が海外産でも地場産品になるのは、少し意外に感じました。
 
総務省は各自治体向けに、ふるさと納税の指定制度の運用に関するQ&Aを通知しています(※2)。
 
その中で、相応の付加価値が発生していることが認められるものとして「区域外で生産された豚肉を、区域内で切断、調理、袋詰めしている豚肉加工品」が例示されています。「豚肉」を「牛肉」に読み替えれば、まさに先述の返礼品そのものですね。
 

「地場産」なのに一度は否定された返礼品

もう1つ、「おやっ」と思わされた返礼品が「電気」。地元で太陽光などによって発電された電気を活用するものです。
 
各自治体が指定する新電力会社(電力自由化により新規参入した、既存大手電力会社以外の電力会社)によって、返礼額分だけ電気料金が割引される仕組みです。
 
寄付した人が別の電力会社を使っている場合、指定された新電力会社へ供給契約を切り替えないと返礼品の電気は利用できません。一例として、群馬県中之条町では1口25万円の寄付で2500キロワット時の「電力量料金」(全国一般家庭での平均6ヶ月分)が提供されます(※3)。
 
この電気の返礼品、以前から提供している自治体がいくつかありました。ところが地元で発電した電気だとしても、新電力会社は既存の大手電力会社の送配電網を利用しています。つまり、送電線から届く電気に色は付いていないのです。
 
実際に使うときに「地場産」であることが特定できない。このことを問題視した総務省が2021年4月に電気の返礼品にストップをかけたと報道されています。
 
ところが、二酸化炭素など温室効果ガスの排出を抑制する地球温暖化対策が国内外の重要課題として注目がどんどん高まる状況下、2021年6月には「地域資源を活用して発電された電気」は、一定の条件をクリアすれば地場産品に該当する(=返礼品にしてよい)とされたのです(※2)。
 
わずか2ヶ月での急転で、“朝令暮改”のバタバタ感が否定できませんね。
 

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まとめ

ふるさと納税は、寄付した人から見ると(上限内であれば)実質2000円の負担でさまざまなグルメや名産品などが手に入るおトク感のある制度といえます。
 
一方で、寄付した人が住む自治体からすると、その人が納めるべき住民税の一部が寄付した先の自治体に流出している状況です。つまり自治体どうしの“ゼロサムゲーム”といえなくもありません。
 
返礼品の過剰なサービス合戦の規制は、もちろん必要でしょう。しかし、今回の外国産牛肉の加工品や地元で発電された電気をめぐる「地場産」の解釈だけを見ても、考えさせられるものがあります。
 
実際に運用するときにいろいろ難しさはあるのでしょうが、規制ルールには公平性や分かりやすさが求められる。そんなことを改めて実感いたします。
 
[出典]
(※1)総務省「ふるさと納税ポータルサイト」~「ふるさと納税に係る指定制度の運用について」 該当箇所は、4.地場産品基準(告示第5条関係)(1)基本的な考え方
(※2)総務省「ふるさと納税ポータルサイト」~「ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&Aについて(通知)」 
該当箇所は、問18(12ページ、肉加工品関係)と問17(10ページ、電気関係)

(※3)株式会社トラストバンク「ふるさとチョイス」~「お礼の電力 中之条町から再生可能エネルギーのお届け」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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