更新日: 2022.01.16 控除

「稼ぐ学生」は収入を要チェック。親側の税金が増えるのは年収いくらから?

「稼ぐ学生」は収入を要チェック。親側の税金が増えるのは年収いくらから?
高校生や大学生など、学生アルバイトの収入が親の税金に影響を及ぼすことは多くの方がご存じでしょう。
 
しかし、何となく「いくらまでしか稼いだらダメ」と家庭内で話ができていても具体的に何円稼いだら親の税金に影響が及ぶのか、明確な根拠を持って知っている方はそう多くはないでしょう。
 
そこで、今回は学生バイトの収入がいくらになると親の年収が増えるのか解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

アルバイト収入だけなら年間103万円を超えなければ大丈夫

学生の収入がアルバイトで稼いだお金のみだと考えると、年間103万円までであれば基本的に親の税金が増えることはありません。月額換算では約8万5833円ほどです。逆に103万を超えてしまうと、親の税金が上がってしまいます。
 

なぜ103万円を超えると親の税金が増えるのか

学生のバイト収入が103万円を超えると親の税金が増える理由は、子が扶養親族の対象から外れてしまうからです。扶養親族とは、納税者が扶養している子や祖父母など生計を一にする親族のことです。
 
そして、12月31日時点で扶養親族が存在することで受けられる控除を扶養控除といいます。アルバイトでの収入など給与収入のみの場合、年間103万円までであれば扶養親族となり、扶養控除を受けられます。
 
103万円を超えると扶養親族から外れてしまい、控除を受けられなくなるため、親の税金が高くなってしまうのです。
 

アルバイト以外の収入は?

アルバイト以外の収入がある場合、少し複雑な話になります。アルバイト以外の収入がある場合、年間の合計所得金額が48万円以下である必要があります。
 
合計所得金額とは、簡単にいえばその人の所得(売り上げから経費を引いたもの)の合計で、繰り越した損失分を差し引く前の金額です。
 
学生に関係する可能性の高いところでいうと、事業所得(事業をして収入を得ている場合)や雑所得(事業所得にはならないが、個人の活動で得た収入など)、配当所得(株の配当金など)、譲渡所得(株の売買など)など、各種所得の合計です。
 
最近では学生であっても、ライブ配信での投げ銭や動画投稿での広告収入、金融取引での利益やフリーランスとしての収入があり、合計所得金額が48万円より高い収入を得ていることもあります。
 
それによって、アルバイト以外での収入でも、取りあえず単純に103万円と考えていたところ、そうではなく扶養親族から外れていたということも起こり得ます。
 
なお、具体的にどれくらい稼いだら48万円を超えてしまうのかという点については、活動内容や経費など控除によっても変わるため、具体的な金額については税理士や税務署などにご相談ください。
 

扶養から外れるとどれくらい親の税金が高くなるの?

扶養から外れると親の税金がどれくらい高くなるのかは、親の収入と子の年齢によっても異なります。仮に子どもが19歳以上23歳未満の特定扶養親族に該当する場合、63万円の所得控除が適用されず、その分所得税が高くなります。
 
もし、親の収入が600万円ほどであり、所得税の税率が10%だった場合、年間の所得税が6万3000円ほど高くなる見込みになります。
 


出典:国税庁 No.1180 扶養控除
 
参考までに、住民税であれば特定扶養親族の控除は45万円であるため、税率を10%として考えると、年間4万5000円ほど親の住民税が上がる見込みになります。
 

収入を得ている学生は扶養について考えるべき

学生であってもバイトや事業など、何らかの方法で収入を得ている場合、その収入が一定額を超えると扶養親族から外れ、親の税金が高くなってしまう可能性があります。
 
純粋にアルバイトの給与のみであれば年間103万円ですが、そうでない場合は103万円とは限りません。現在何らかの方法で収入を得ている学生の方、あるいはその扶養者は稼いでも扶養から外れない収入金額について一度確認してみてください。
 
出典
国税庁 No.1180 扶養控除
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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