更新日: 2022.01.19 控除
宝くじで100万円当選した主婦。扶養はどうなる? 確定申告はするべき?
それではもし、扶養されている主婦が幸運にも宝くじに当選した場合、その当選金の税金の扱いはどうなるのでしょう。
執筆者:小山英斗(こやま ひでと)
CFP(日本FP協会認定会員)
1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ
人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。
「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
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なんと宝くじの当選金は非課税です
何かしらの収入を得たとき、その収入は10種類の所得に分類され所得税がかかります。給与であれば給与所得、株式の配当などであれば配当所得、事業から得た収入であれば事業所得などがあります。
このうち一時所得と呼ばれる所得は、例えばイベントでの賞金や生命保険の満期保険金、競馬などの払戻金など、一時的に発生したものが対象となります。
地方自治体が発売する宝くじの当選金もこの一時所得に該当しそうですが、実は、宝くじの当選金は非課税所得として扱われ、税金がかかりません。これは「当せん金付証票法」という法律により、特別措置として「所得税を課さない」と定められているからです。
非課税所得のため、当選金額の大小にかかわらず所得税を納める必要はありません。確定申告も不要です。例えば、扶養されている主婦が100万円当選した場合も、非課税所得であることから課税されませんし、扶養から外れる必要もありません。
宝くじの当選金が非課税の理由
では、なぜ宝くじは競馬の払戻金のように一時所得と見なさず、税金がかからないのでしょう。それは、宝くじの収益金の使われ方に理由があります。
宝くじの収益金(売上金額)の約4割弱は、発売元の全国都道府県および20指定都市といった地方自治体に納められ、その主な使途として、高齢化少子化対策、防災対策、公園整備、教育および社会福祉施設の建設改修などに充てられています。
当せん金付証票法の目的が地方財政資金の調達であることからも、宝くじを購入した人は、購入した時点で購入代金の一部が税金として徴収されているのと同じといえます。そのため、当選金にさらに課税することは二重に税金を徴収することとなるため、当選金には税金を課していないのです。
また、宝くじの収益金の1割強は宝くじの発行にかかる経費や販売手数料、社会貢献広報費に使われ、残りの5割弱が当選金として当選者に支払われます。当せん金付証票法でも当選金の限度額は発売総額の5割を超えてはならないと定められています。
当選金を贈与や相続した場合には課税対象
当選金は、もらったときは非課税所得なため、所得税や住民税の対象とはなりません。しかし、その当選金を贈与や相続した場合などは、贈与税や相続税が発生する場合があるので注意が必要です。
例えば、宝くじを共同で購入する場合もあるかもしれません。その場合、代表者が当選金をいったん受け取り、その後で共同購入者に分配などをすると贈与と見なされ贈与税がかかってしまう可能性があります。贈与と見なされないようにするためには、当選金を受け取るときに、共同購入者全員で出資額に応じた当選金を受け取る手続きをするようにしましょう。
出典
宝くじ公式サイト 収益金の使い道と社会貢献広報
e-Govポータル 当せん金付証票法
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)