更新日: 2022.02.06 控除
103万円の壁を超えてしまった……税金はどうなるの?
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
103万円の壁とは
アルバイトやパートなどで働き、勤務先から給料をもらっている人は、年収103万円を超えると所得税などの税金を納めることになります。これは一般的に「103万円の壁」と呼ばれ、その年の1月1日から12月31日までの収入が103万円を超えないように働き方を調整される方もいます。
年収103万円の壁を超えると、アルバイトやパートの収入に所得税が課税されることに加え、配偶者や親が納める税金が増えることもあります。
配偶者の扶養家族である主婦や主夫のケース
配偶者の扶養家族で、パートで働く主婦や主夫の場合は、年収103万円以下では所得税を納める必要がありません。
しかし、例えば年収が120万円となった場合、103万円を超えた17万円に対して所得税の税率5%を掛けた8500円が所得税となります(復興特別所得税を除く)。
2017年までは、満額の配偶者控除が適用される年収の上限が103万円でしたので、103万円を超えることで配偶者が納める税金が増えることになっていましたが、2018年の改正により、扶養者の年収にもよりますが、満額の配偶者特別控除が受けられる被扶養者の年収は150万円まで引き上げられました。
そのため、配偶者の扶養家族であるパート勤務の主婦(主夫)について、年収150万円までは配偶者が納める税金への影響はなくなっています。
なお、配偶者を扶養していると配偶者手当が支給される勤務先もあります。配偶者手当の条件として、配偶者の年収が103万円以下であるケースもあるので勤務先へ確認しておきましょう。
親に扶養されている学生やフリーターのケース
親の扶養家族となっている学生やフリーターの場合も、年収103万円以下では所得税を納める必要がありません。ただし年収が103万円を超えると、自分のアルバイト収入に所得税が課税され、扶養者である親の所得税や住民税も増える場合があります。
扶養者である親は、扶養している子どもの年収が103万円以下の場合、扶養控除を受けることができるので、扶養控除分の所得税と住民税が軽減されます。
しかし、被扶養者の年収が103万円を超えると扶養控除が受けられなくなり、扶養者である親の所得が増えることになるので、納める所得税や住民税の金額が増えます。
扶養控除は、扶養している子どもの年齢などによって異なります。
例えば20歳の子どもを扶養している場合、扶養控除を受けることで所得税の計算の基準となる所得が63万円、住民税の計算の基準となる所得が45万円控除されます。
扶養者である親の所得税の税率を10%と仮定すると、子どもの年収が103万円を超えた場合は所得税として6万3000円、住民税として4万5000円の計10万8000円が納める税金として増える計算になります。
なお、扶養している子どもが勤労学生に該当する場合は、勤労学生控除によりアルバイトの年収130万円までは所得税などを納める必要はありませんが、扶養者である親は扶養控除を受けることができません。
今後は壁を超えて働くか
配偶者や親に扶養されている方の年収が103万円を超えることにより、納める税金が増えることを解説しました。今後の働き方を考えるときは、パートやアルバイトの収入と納める税金の額なども考慮し、103万円の壁を超えて働くか、それとも超えずに働くか検討してみましょう。
出典
国税庁 「No.1180 扶養控除」
国税庁 「No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」
国税庁 「No.1195 配偶者特別控除」
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント